INHERITANCE GUIDE
相続手続きを自分でやる場合の
ポイントと注意点
費用節約・失敗しやすいポイント・専門家に任せるべき場面を
元銀行員AFP田中由美が実例とともに解説
「専門家に頼むと何十万円もかかると聞いて……でも自分でできるか不安で」。銀行の相続窓口でそう打ち明けてくださるご家族は、本当に多かったです。相続手続きは、正しい知識さえあれば多くの部分を自分でやることができます。一方で、「自分でできると思っていたのに途中で詰まってしまった」という失敗も、残念ながら後を絶ちません。この記事では、自分でできる手続きの範囲・具体的なやり方・失敗しやすいポイントを、元銀行員としての実体験とともに詳しくお伝えします。費用を節約しながら、確実に手続きを進めていきましょう。
この記事でわかること
- 相続手続きのうち自分でできる範囲・できない範囲
- 自分でやる場合の7ステップ(手順と必要書類)
- 銀行口座・不動産登記を自分でやる具体的な方法
- 相続税申告を自分でやる場合の注意点
- よくある失敗パターン7選と対処法
- 自分でやるメリット・デメリット比較
- 専門家に任せるべきケース5選
自分でできる相続手続きの範囲
相続手続きには多くの種類があります。まず「何が自分でできて、何が難しいか」を大まかに把握することが大切です。以下の3パターンに分けて考えてみましょう。
| 難易度 | 手続きの種類 | ポイント |
|---|---|---|
| ◎ 自分でできる | 死亡届の提出・火葬許可証の取得、年金停止手続き、健康保険の喪失届、銀行口座の相続手続き(シンプルなケース)、相続放棄の申述(単純ケース)、戸籍謄本等の収集 | 書類を揃えれば窓口で対応可能。時間さえかければ誰でも対応できる。 |
| △ 条件付きで可 | 不動産の相続登記(相続人が少ない場合)、相続税申告(財産が少なくシンプルな場合)、遺産分割協議書の作成(争いがない場合) | 難易度はやや高め。法務局や税務署の相談窓口を活用すれば対応可能。 |
| × 専門家必須 | 相続放棄(財産を一部使用後)、遺産分割調停・審判、相続税申告(不動産多数・非上場株式・事業承継)、遺留分侵害額請求の対応 | 法的判断や専門知識が不可欠。無理に自分でやると取り返しのつかない失敗につながる。 |
多くのご家庭では、基本的な手続きの大部分は自分でこなせます。重要なのは、「どこまで自分でできるか」を最初に見極めることです。これを誤ると、途中で行き詰まって余計な費用がかかることになります。
自分でやる場合の7ステップ
相続手続きを自分で進める場合、大きく7つのステップで考えると整理しやすくなります。各ステップをひとつずつ確実にクリアしていきましょう。
死亡届の提出と初動対応(死亡後7日以内)
市区町村役場に死亡届を提出し、火葬許可証を取得します。葬儀社が代行してくれるケースも多いですが、死亡診断書のコピーは複数枚取得しておきましょう。その後、年金事務所への年金停止届(14日以内)、健康保険の喪失届(14日以内)も忘れずに。なお、相続放棄を検討している場合は、この段階で遺産に手をつけないことが最重要です。
遺言書の確認(死亡後できるだけ早く)
自宅・金庫・法務局(自筆証書遺言の保管制度を利用していた場合)などを確認します。自筆証書遺言が見つかった場合は、開封せず家庭裁判所に検認の申立てをする必要があります(公正証書遺言は検認不要)。遺言書の内容によって、その後の手続きが大きく変わります。
相続人の確定(戸籍謄本の収集)
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を収集します。これが最も手間のかかる作業のひとつです。本籍地が転々としていた場合、複数の市区町村に請求が必要になります。マイナポータルの「法定相続情報証明制度」を利用すると、一覧図を作成できて各手続きがスムーズになります。
財産・負債の調査
預金通帳・不動産登記簿・株式・保険証券・借入証書などを一覧にまとめます。負債(借金・連帯保証債務)の調査を忘れる方が非常に多いのでご注意ください。信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)への照会も有効です。財産が負債を下回るようであれば、相続放棄(3ヵ月以内)を検討する必要があります。
遺産分割協議(相続人全員で合意形成)
遺言書がない場合、相続人全員で誰が何を引き継ぐかを話し合います(遺産分割協議)。合意できたら遺産分割協議書を書面で作成し、全員が署名・実印を押印・印鑑証明書を添付します。書式に決まりはありませんが、各財産を明確に記載することが重要です。ひとりでも反対すると協議が成立しないため、事前に丁寧な話し合いが必要です。
各種名義変更・解約手続き
銀行口座の解約・名義変更、不動産の相続登記、株式・投資信託の名義変更、自動車の名義変更などを行います。各機関によって必要書類が異なるため、事前に確認しましょう。法定相続情報一覧図を取得しておくと、戸籍謄本の束を毎回持参しなくて済みます。
相続税申告(必要な場合、10ヵ月以内)
相続財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合に相続税申告が必要です。申告期限は被相続人の死亡翌日から10ヵ月以内。財産が少なくシンプルなケースであれば自分でも申告できますが、不動産の評価や特例適用には専門的な知識が求められます。
各手続きの期限を忘れずに
相続放棄は3ヵ月以内、準確定申告は4ヵ月以内、相続税申告は10ヵ月以内という法定期限があります。期限を過ぎると選択肢が大幅に狭まるため注意が必要です。詳しくは相続手続きの期限一覧もご参照ください。
銀行口座の相続手続きを自分でやる方法
預貯金の相続手続きは、自分で行う代表的な手続きのひとつです。銀行によって細かい書式は異なりますが、基本的な流れは共通しています。
銀行口座相続の基本的な流れ
STEP 1:銀行への連絡
口座名義人が死亡した旨を銀行に連絡します。連絡した時点で口座は凍結(入出金停止)されます。複数の銀行に口座がある場合は各行に連絡が必要です。
STEP 2:必要書類の準備
銀行所定の相続届(窓口またはホームページで取得)に必要事項を記入し、必要書類を揃えます。書類の種類は遺言書の有無によって異なります。
STEP 3:窓口へ提出
相続する方が窓口に出向き書類を提出します。審査に1〜3週間程度かかるのが一般的です。ゆうちょ銀行など一部の金融機関はオンライン手続きにも対応しています。
STEP 4:払い戻し・名義変更
審査完了後、遺産分割協議書の内容に従って相続人の口座へ振り込み(払い戻し)または名義変更が行われます。
銀行口座相続に必要な書類一覧
| 書類名 | 遺言書あり | 遺言書なし | 備考 |
|---|---|---|---|
| 銀行所定の相続届 | ◎ | ◎ | 窓口またはHP |
| 被相続人の出生〜死亡の戸籍謄本 | ◎ | ◎ | 法定相続情報一覧図で代用可(銀行による) |
| 相続人全員の戸籍謄本 | ◎ | ◎ | 発行から3ヵ月以内 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | (銀行による) | ◎ | 発行から3ヵ月以内が多い |
| 遺産分割協議書 | — | ◎ | 全相続人署名・実印押印が必要 |
| 検認済みの遺言書または公正証書遺言 | ◎ | — | 自筆証書は検認が必要 |
| 払い戻しを受ける相続人の本人確認書類 | ◎ | ◎ | 運転免許証・マイナンバーカードなど |
| 通帳・カード | あれば提出 | あれば提出 | 紛失でも手続き可(銀行に確認) |
法定相続情報証明制度を活用しよう
法務局に戸籍謄本一式を提出すると「法定相続情報一覧図」を無料で発行してもらえます(証明書として何枚でも取得可能)。複数の銀行・法務局での手続きで同じ戸籍を何度も提出する手間が省けます。相続人が確定したら早めに申請しておくことをおすすめします。
不動産の相続登記を自分でやる方法
2024年4月から相続登記が義務化されました。不動産を相続してから3年以内に登記しなければ10万円以下の過料(罰則)の対象となります。手続きは法務局で行いますが、自分でやることも可能です。
相続登記申請の手順
2024年4月1日から相続登記が義務化
2021年4月以前に相続が発生した未登記物件も対象です。3年間の猶予期間がありますが、早めに対応することをおすすめします。
| 手順 | 作業内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書の取得 | 法務局またはオンラインで、対象不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する | 600円/通(オンラインは480円) |
| 戸籍・住民票の収集 | 被相続人の死亡時の住民票(除票)、相続人の住民票・戸籍謄本を収集する | 各300〜750円 |
| 遺産分割協議書作成 | 不動産を誰が取得するか明記した遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・実印押印する | 0円(自作の場合) |
| 登記申請書の作成 | 法務局のホームページで様式をダウンロードし、必要事項を記入する。法務局の相談窓口(登記相談)を活用できる | 0円 |
| 登録免許税の計算・納付 | 固定資産税評価額×0.4%の登録免許税を収入印紙で納付する(申請書に貼付) | 評価額によって異なる |
| 法務局に申請 | 管轄の法務局へ郵送またはオンラインで申請する。審査に1〜2週間程度かかる | 郵送費のみ |
自分で登記をやる場合のポイント
法務局には「登記相談」の窓口があり、申請書の書き方などを無料で教えてもらえます。ただし、相続人が多い・前の相続登記が未了・農地がある・借地権がある、といった複雑なケースは司法書士への依頼を検討してください。司法書士費用は5万〜15万円が目安です。詳しくは相続手続きをどこに頼むかもご覧ください。
相続税申告を自分でやる場合の注意点
相続税の申告は難易度が高いですが、財産がシンプルなケース(預金のみ・不動産が1件で評価がわかりやすいなど)であれば、自分で挑戦できます。ただし、いくつかの重要な注意点があります。
まず申告が必要かどうかを確認する
相続税の基礎控除額(課税されない上限)
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例:法定相続人が3人の場合 → 3,000万円 + 1,800万円 = 4,800万円まで相続税ゼロ
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 申告期限を守る | 被相続人の死亡翌日から10ヵ月以内。期限を過ぎると無申告加算税(最大15〜20%)と延滞税が課される。 |
| 財産評価を正確に行う | 不動産の相続税評価額は「路線価方式」か「倍率方式」で計算。路線価は国税庁ホームページで確認できるが、補正率(角地・不整形地など)の適用は複雑。 |
| みなし相続財産を忘れない | 生命保険の死亡保険金・死亡退職金は相続財産ではないが、相続税の課税対象(非課税枠:500万円×法定相続人数)になる。申告漏れが多い。 |
| 生前贈与の加算を確認する | 死亡前7年以内(2023年以前の相続では3年以内)の贈与財産は相続財産に加算される(持ち戻し)。申告漏れになりやすい。 |
| 特例を活用する | 小規模宅地等の特例(最大80%評価減)・配偶者の税額軽減などは、要件を満たせば大幅に税額を減らせる。ただし適用条件が細かく、申告書に添付書類が必要。 |
| 税務調査への対応 | 相続税申告は税務調査の対象になりやすい。自己申告の場合は通帳・契約書などを保管しておく。申告内容に自信がない場合は税理士への確認を検討する。 |
小規模宅地の特例は要件が複雑
「同居していた子が親の自宅を相続すれば80%評価減」というのが一般的な理解ですが、「相続開始前3年間に自分や配偶者が所有する家に住んでいないこと」など細かい要件があります。これを誤って適用すると税務調査で指摘を受け、追徴税額が発生します。迷う場合は税理士に相談することをおすすめします。
田中由美の体験談:「自分でやる」の落とし穴
著者:田中由美(AFP・相続診断士・元銀行員)
ある秋の午後、60代前半の男性が窓口にいらっしゃいました。少し顔色が悪く、手にはくしゃくしゃになったメモ帳を持っていらっしゃいました。「お父様のことですか」とお聞きすると、「いえ、兄が先月亡くなりまして」と静かな声で答えてくださいました。
聞けば、お兄様は生涯独身で子どもはなく、親もすでに他界。相続人はこの男性ひとりだとのこと。「一人で全部やれると思って、もう銀行の書類も集め終わったんです」とおっしゃいました。私は書類を確認しながら、少し違和感を覚えました。「お兄様はご結婚されたことはありますか?」と聞くと、「若い頃に一度あったと聞いていますが、もう40年以上前のことで……」と口ごもりました。
私は丁寧にご説明しました。相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要で、前婚でお子さんがいた場合はその方も法定相続人になること——。「もし前の奥様との間にお子さんがいれば、遺産分割協議にその方も参加していただかないと、銀行の手続きは受け付けられないんです」。
男性は「そんな……全部自分でやれると思っていたのに」と、しばらく黙っていらっしゃいました。その表情が今でも忘れられません。相続の「自分でできる範囲」は、確かに広いのです。でも、正確に相続人を確定するという「最初の一歩」を省いてしまうと、その後のすべてが崩れてしまいます。だからこそ、この記事を書きました。
よくある失敗パターン7選
相続手続きを自分でやろうとした方が、実際によく陥る失敗パターンをご紹介します。事前に知っておくだけで、大きなトラブルを防げます。
失敗①
相続財産を使ってしまう(単純承認)
亡くなった方の口座から「葬儀代だから大丈夫」と引き出したり、財産を処分・消費した場合、相続を「単純承認」したとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。多額の借金があとから発覚しても手遅れになる恐れがあります。
失敗②
遺言書を勝手に開封する
自筆証書遺言を発見し、家族で開封してしまうケースがあります。家庭裁判所の「検認」を受ける前に開封すると5万円以下の過料の対象になります。また、遺言の偽造疑惑を招くこともあります。
失敗③
相続人の把握が不完全
被相続人の前婚の子や、認知した子が存在するケースを見落とすことがあります。戸籍謄本は出生まで遡らないと全員を把握できません。見落とした状態で締結した遺産分割協議書は無効になります。
失敗④
負債の調査を忘れる
銀行口座の解約を先に進めてしまい、あとから消費者金融や連帯保証債務が発覚するケースがあります。相続放棄の3ヵ月という期限も過ぎてしまいます。財産と同時に負債も徹底的に調査することが重要です。
失敗⑤
遺産分割協議書の記載が不十分
「預金は長男が相続する」のような曖昧な記載では、銀行や法務局で受け付けてもらえないことがあります。「〇〇銀行〇〇支店 普通口座 口座番号〇〇〇〇」と特定できる記載が必要です。
失敗⑥
相続税申告漏れ
「申告は不要と思っていた」という後からの発覚が多いです。生命保険金・死亡退職金・前年以前の生前贈与財産なども課税対象になりえます。基礎控除との比較を慎重に行ってください。
失敗⑦
期限を過ぎてから動き始める
「まだ時間があると思っていた」という声が非常に多いです。相続放棄3ヵ月・遺留分請求1年・準確定申告4ヵ月・相続税申告10ヵ月など、複数の期限が同時進行しています。書類収集や金融機関との調整は思った以上に時間がかかることを覚えておいてください。手続き全体の流れについては相続手続きの流れもご参照ください。
自分でやるメリット・デメリット比較
相続手続きを自分でやることにはメリットとデメリットの両面があります。ご自身の状況に合わせて判断するための比較表をご覧ください。
| 項目 | 自分でやる場合 | 専門家に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 費用 | ◎ 実費のみ(数千〜数万円) | △ 数万〜数十万円 |
| 時間・手間 | × 非常にかかる(数十〜数百時間) | ◎ 大幅に削減 |
| ミスのリスク | × 書類不備・申告漏れのリスクあり | ◎ 専門家が確認 |
| 複雑なケースへの対応 | × 対応が難しい | ◎ 得意分野 |
| 相続人間の調整 | △ 自分でやりとり | ◯ 第三者として仲介も可 |
| 財産の把握・理解 | ◎ 自分で全体を把握できる | △ 任せすぎると内容を把握しにくい |
| 節税対策 | △ 特例の見落としリスクあり | ◎ 最適化を提案してもらえる |
自分でやるのに向いているケース
- 相続人が少ない(配偶者+子1〜2名程度)
- 財産が預金のみ、または不動産が1件程度
- 相続人間に争いがない
- 相続税申告が不要なケース
- 時間に余裕がある
- 費用を節約したい
専門家への依頼を検討すべきケース
- 相続人が多い・関係が複雑
- 不動産が複数・農地・共有持分がある
- 相続人間で意見が合わない
- 相続税申告が必要(特に不動産評価が絡む場合)
- 前婚の子・認知した子が存在する
- 借金・連帯保証が疑われる
専門家に任せるべきケース5選
「自分でできるかも」と思っていても、以下に当てはまる場合は無理をせず専門家に依頼することを強くおすすめします。費用よりも、後から取り返しのつかない失敗をするリスクの方が大きいからです。
ケース① 相続人間で意見が対立している
遺産の分け方をめぐって相続人間で意見が対立している場合は、弁護士への相談が最善です。放置すると「遺産分割調停」や「審判」に発展し、解決まで数年かかることもあります。弁護士が間に入ることで、感情的な対立を和らげながら合意形成を進められます。
ケース② 多額の相続税が予想される
不動産が複数・非上場株式・事業用資産などがある場合、財産評価のやり方ひとつで税額が大きく変わります。小規模宅地の特例や配偶者控除の適用を最大限に活かすためにも、相続専門の税理士への依頼が費用対効果の面で有利です。
ケース③ 負債が多く相続放棄を検討している
借金が多い場合や、連帯保証人になっていた場合は、3ヵ月以内の相続放棄・限定承認の判断が必要です。財産を少しでも使用・消費してしまった後の手続きは非常に複雑になります。早期に弁護士・司法書士へ相談することが重要です。
ケース④ 遺言書の内容に疑義がある
「この遺言書は本物なのか」「内容に納得できない」というケースでは、遺言の有効性を争う可能性があります。また、遺留分(最低限の相続分)が侵害されている場合は弁護士による遺留分侵害額請求の対応が必要です。
ケース⑤ 相続人を特定するのが困難なケース
被相続人が前婚でお子さんをもっていた場合・認知した子が存在する可能性がある場合・相続人の所在が不明な場合などは、戸籍の収集・不在者財産管理人の選任申立てなど、専門家でないと対応が難しい手続きが必要になります。このような場合は司法書士・弁護士への早めの相談をおすすめします。専門家への依頼費用については相続手続きの費用相場もご参照ください。
どの専門家に相談すればいいのか迷ったら
手続きの内容によって相談すべき専門家が異なります。登記なら司法書士、相続税申告なら税理士、紛争や調停なら弁護士、全般的な書類作成なら行政書士が主な担当です。詳しくは相続手続きはどこに頼む?専門家の選び方ガイドをご覧ください。
費用を節約するためのポイント
専門家に依頼する部分を最小限にしながら、費用を節約するための実践的なコツをご紹介します。
| 節約のポイント | 具体的な方法 | 節約効果 |
|---|---|---|
| 法定相続情報一覧図を活用 | 法務局に戸籍謄本一式を提出し、一覧図(証明書)を複数枚無料発行してもらう | 戸籍謄本の取得費用を大幅削減(1通750円×多数) |
| マイナポータルで戸籍取得 | マイナポータルの「戸籍証明書等の広域交付」を利用すれば、本籍地でなくても最寄りの市区町村で取得できる | 郵送費・交通費を節約 |
| 銀行の相続センターを活用 | メガバンクや大手地銀は相続専門窓口・ガイドブックを提供している。事前予約で相談員に対面で質問できる | 書類不備による差し戻しを防ぎ、手間と時間を節約 |
| 法務局の登記相談を使う | 法務局の「登記相談」は無料。申請書の書き方・必要書類を教えてもらえる(予約制の場合あり) | 司法書士報酬5〜15万円の節約 |
| 税務署の相続税相談を使う | 税務署では相続税申告の無料相談を行っている。「電話相談センター」への電話相談も無料で利用できる | 基本的な申告の考え方を無料で確認できる |
| 部分的に専門家へ依頼 | 「書類収集は自分で行い、相続税申告の書類作成だけ税理士に依頼する」など、手間のかかる部分だけ切り出して依頼する | 費用を全面依頼の半額程度に抑えられるケースも |
手続き別・必要書類まとめ
相続手続きで必要になる書類を、手続き種類別にまとめました。事前に準備しておくことでスムーズに手続きを進められます。必要書類の詳細については相続手続きに必要な書類まとめもあわせてご参照ください。
| 手続きの種類 | 必要書類(主なもの) | 費用目安 |
|---|---|---|
| 死亡届・火葬許可 | 死亡診断書(医師発行)、死亡届(役場の用紙) | 0円(死亡診断書は医療機関による) |
| 遺言書の検認 | 遺言書(未開封)、被相続人の出生〜死亡の戸籍、相続人全員の戸籍 | 収入印紙800円+郵便切手数百円 |
| 法定相続情報一覧図 | 被相続人の出生〜死亡の戸籍、相続人の戸籍、被相続人の住民票除票 | 0円(証明書何枚でも無料) |
| 銀行口座の解約・払戻 | 銀行所定の相続届、戸籍一式(または法定相続情報一覧図)、相続人の印鑑証明書、遺産分割協議書(遺言なしの場合) | 0円(書類取得費用のみ) |
| 不動産の相続登記 | 登記申請書、戸籍一式、相続人の住民票・印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)、固定資産税評価証明書 | 登録免許税(評価額×0.4%)+実費 |
| 相続税申告 | 相続税申告書(第1〜15表)、財産の評価証明書類(残高証明・固定資産評価証明書等)、戸籍一式、遺産分割協議書 | 計算された税額(専門家依頼なら+報酬) |
| 年金受給権者死亡届 | 年金受給権者死亡届(10日以内)、死亡診断書のコピー、年金手帳または基礎年金番号通知書 | 0円 |
相続手続きを自分でやる際に使える無料相談窓口
「わからないことが出てきたときにどこに聞けばいいか」も事前に把握しておきましょう。費用をかけずに専門的な意見を聞ける窓口がいくつかあります。
法務局(登記相談)
相続登記の申請書の書き方・必要書類について無料で相談できます。予約制の場合が多いため、事前に電話確認を。「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」でオンライン申請も可能です。
税務署(相続税相談)
相続税申告に関する基本的な質問は税務署の窓口・電話相談センターで無料対応してもらえます。ただし、具体的な節税アドバイスは行っていないため、専門的な税務判断は税理士に依頼する必要があります。
市区町村の法律相談
多くの市区町村で弁護士・司法書士・税理士による無料法律相談を実施しています(月1〜4回程度、予約制)。30分程度の相談ができます。お住まいの自治体のホームページで確認してください。
銀行の相続専門窓口
メガバンク・大手地銀は「相続センター」を設けており、必要書類のリストアップや記入方法を無料でサポートしてくれます。担当者がていねいに説明してくれるため、初めての方にも安心です。
法テラス
国が設立した法的サービスの総合案内所。資力の乏しい方には弁護士・司法書士費用の立替制度もあります。電話番号:0570-078374(ナビダイヤル)。
司法書士・税理士会の無料相談
各都道府県の司法書士会・税理士会が定期的に無料相談会を実施しています。専門家に直接質問できる貴重な機会です。それぞれの会のホームページで開催情報を確認してください。
よくある質問
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「自分でやる?頼む?」で迷っている方へ
料金だけでなく「時間コスト」まで含めて比較すると、プロ依頼の方が合理的なケースは少なくありません。固定料金で相続税申告から手続きまでワンストップ対応するサービスを、実際の料金比較で詳しく解説しています。
まとめ
相続手続きを自分でやることは、多くのケースで十分可能です。費用節約になるだけでなく、自分で手続きを進めることで財産の全体像を把握できるというメリットもあります。一方で、相続人の確定・負債の調査・相続税申告など、間違えると取り返しのつかないポイントも存在します。
自分でやる場合の重要ポイント まとめ
- まず「自分でできる範囲か」を見極める(相続人数・財産の複雑さ・相続税の有無)
- 7つのステップを順序よく進める(初動→遺言確認→相続人確定→財産調査→協議→名義変更→税申告)
- 相続放棄(3ヵ月)・相続税申告(10ヵ月)などの期限を必ず守る
- 戸籍謄本の収集と法定相続情報一覧図の取得を早めに行う
- 負債の調査を財産調査と並行して行う
- 銀行口座を勝手に引き出さない(凍結前であっても)
- 複雑なケース・争いがあるケースは迷わず専門家へ
相続手続きの全体的な流れについては相続手続きの流れを、最初にやるべきことは相続発生後に最初にやることをご覧ください。費用面が気になる方は相続手続きの費用相場も参考にしてください。
「自分でやってみたけど、途中で行き詰まった」というときは、一部の手続きだけを専門家に任せることも可能です。最初から「全部自分でやらなければ」と思い込まず、困ったときには無料相談窓口を上手に活用しながら進めていきましょう。

