親の家を相続したら固定資産税はどうなる?納税義務・軽減・空き家リスクを元銀行員AFPが解説

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親の家を相続したら
固定資産税はどうなる?

名義変更前の納税義務・住宅用地特例・空き家になると税額が最大6倍に。相続後の固定資産税を正しく理解して損をしない選択を。

「親が亡くなって実家を相続したけれど、固定資産税はこれからどうなるの?」「名義変更が終わっていないのに自分が払わないといけないの?」「空き家のままにしておいたら税金が上がるって本当?」こうした疑問を持つ方が増えています。固定資産税は毎年かかる税金であり、相続後の対応を誤ると思わぬ負担や損失につながることがあります。この記事では、親の家を相続したときの固定資産税の取り扱い、名義変更前後の納税義務、住宅用地特例による軽減、空き家にした場合のリスク、農地・山林の特例まで、わかりやすく解説します。

著者:田中由美より

銀行員時代、「実家を相続したけれど、固定資産税の通知が前の名義のまま届いていて、誰が払えばいいのか困っています」というご相談を多くいただきました。また、空き家になった実家を放置していたら「特定空き家」に指定されて固定資産税が急に上がった、というケースも実際に見てきました。固定資産税は毎年かかる費用だからこそ、相続の早い段階で正しく理解して対処することが大切です。この記事でしっかりと把握していただければと思います。

固定資産税の基本:計算方法と納付の仕組み

まず固定資産税の基本を確認しておきましょう。固定資産税とは、土地・建物などの固定資産を所有している人が毎年市区町村(東京23区は都)に支払う税金です。

固定資産税の計算式

固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率1.4%

※ 税率は標準税率1.4%。市区町村によって異なる場合あり(上限2.1%)

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、市区町村が3年ごとに行う評価替えによって定められた金額です。一般的に時価(市場価格)の約70%程度が目安とされています。固定資産税の納税通知書や固定資産税評価証明書で確認できます。

固定資産税の納付方法

項目 内容
課税基準日 毎年1月1日時点の所有者に課税される(1月2日以降の相続・売却でもその年は前の所有者に課税)
納税通知書の発送 毎年4〜6月頃に市区町村から郵送(都市計画税も同時に通知)
納付期限 年4回(第1期〜第4期)。市区町村によって期限が異なる。一括納付も可能(割引なし)
納付方法 金融機関・コンビニ・口座振替・スマホ決済など
滞納した場合 延滞金が加算(年14.6%・特例あり)。差し押さえになる場合もある

都市計画税とは

固定資産税の納税通知書には「都市計画税」も一緒に記載されていることがあります。都市計画税は、都市計画区域内にある土地・建物に課税される税金で、税率は最大0.3%です。固定資産税と同じ評価額に対して課税され、同じ納期で納付します。市街化区域内の不動産を相続した場合は都市計画税も発生することを覚えておきましょう。

相続後の固定資産税:誰がいつから払う?

相続後の固定資産税について、最も多い疑問が「誰がいつから払うのか」です。これは相続の時期と名義変更のタイミングによって変わります。

基本ルール:1月1日時点の所有者が納税義務者

固定資産税は「毎年1月1日時点の固定資産の所有者」が納税義務を負います。そのため、相続の時期によって以下のように扱いが変わります。

亡くなった時期 その年の固定資産税の扱い 翌年以降の扱い
1月1日に亡くなった場合 1月1日時点では被相続人が所有者のため、その年は被相続人名義で課税される(相続財産から精算) 翌年1月1日時点の名義人(相続人)に課税
1月2日〜12月31日に亡くなった場合 その年1月1日時点は被相続人が所有者のため、その年分は被相続人名義で課税(相続財産から精算) 翌年1月1日時点の名義人(相続人)に課税

名義変更前の固定資産税はどうなる?

相続登記(名義変更)が完了していない状態でも、固定資産税の納税義務は相続人に発生します。被相続人が亡くなった後も、相続人は固定資産税を納付する義務があります。

状況 固定資産税の扱い
亡くなった年の分(未払いあり) 被相続人の死亡時点で未払いの固定資産税は、相続人が「相続債務」として引き継ぐ。相続財産から差し引いて分割することが多い。
翌年以降、名義変更前 納税通知書は引き続き旧名義(被相続人名義)で届く場合があるが、相続人が代わりに納付する義務がある。市区町村に相続した旨を連絡すると、相続人宛に通知してもらえることも。
相続人が複数いる場合 遺産分割協議前(共有状態)では、各相続人が法定相続分に応じて固定資産税の納税義務を負う。ただし、代表して一人が全額納付することも可能(後で精算)。
名義変更(相続登記)完了後 翌年度から新しい名義人(相続人)宛に納税通知書が届く。完了したら市区町村の税務課に「相続による所有権移転」の届出を行う(異動届)。

⚠️ 固定資産税を放置すると延滞金が発生する

「名義変更が終わっていないから自分が払わなくてよい」は誤りです。相続登記の完了前でも固定資産税の納税義務は相続人にあります。放置すると延滞金が加算され、最終的には差し押さえになる可能性があります。相続発生後は、固定資産税の通知が届いたら必ず対応してください。

固定資産税の計算をする日本人のイメージ

住宅用地特例とは?軽減の仕組みを理解しよう

住宅が建っている土地(住宅用地)には、固定資産税を大幅に軽減する「住宅用地特例」が適用されます。この特例は相続後も継続して適用されます。

住宅用地特例の内容

区分 対象面積 固定資産税の軽減 都市計画税の軽減
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 評価額を1/6に軽減 評価額を1/3に軽減
一般住宅用地 200㎡超の部分 評価額を1/3に軽減 評価額を2/3に軽減

住宅用地特例の計算例

例:固定資産税評価額2,000万円の土地(200㎡以下)に自宅が建っている場合

特例なしの場合(更地・空き家指定後) 2,000万円 × 1.4% = 28万円/年
住宅用地特例(1/6)適用時 2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約4.7万円/年
特例による節税効果 年間約23万円の節税(特例なしの約1/6の税額)

※ 建物の固定資産税は別途発生します(建物評価額×1.4%)。

住宅用地特例が適用されなくなるケース

  • 建物を取り壊して更地にした場合(翌年から特例が外れ、税額が最大6倍に)
  • 「特定空き家」に指定された場合(住宅用地特例の対象から除外される)
  • 住宅以外の用途(倉庫・店舗等)に転用した場合
  • 建物が老朽化して市区町村に「使用不可能な状態」と認定された場合
管理されていない空き家と固定資産税の問題を示すイメージ

空き家にすると固定資産税が最大6倍になるリスク

相続した実家をそのまま空き家にしておくことは、固定資産税の観点から非常に大きなリスクを伴います。「特定空き家」に指定されると、住宅用地特例が適用されなくなり、税額が大幅に増加します。

特定空き家とは

「空き家対策特別措置法」に基づいて市区町村が指定する空き家の区分です。以下の状態にある空き家が対象となります。

区分 状態・要件 固定資産税への影響
特定空き家 倒壊の危険・衛生上有害・著しく景観を損なっている・放置が不適切 住宅用地特例が除外→税額が最大6倍に
管理不全空き家(2023年新設) 特定空き家になるおそれのある状態。勧告を受けた場合が対象。 住宅用地特例が除外→税額が最大6倍に(2024年〜)
一般空き家(居住用不動産として維持) 住宅として適切に管理されている状態の空き家 住宅用地特例は引き続き適用

特定空き家に指定されるまでの流れ

STEP 1|市区町村が立入調査

老朽化・不審な状態の空き家について市区町村が現地調査を行う。

STEP 2|所有者に助言・指導

市区町村から所有者(相続人)に管理改善の助言・指導が行われる。

STEP 3|勧告

助言・指導に従わない場合、「勧告」が出される。この段階で管理不全空き家として固定資産税の特例除外が適用される。

STEP 4|命令・過料

勧告にも従わない場合、命令が出され、違反した場合は50万円以下の過料が課される。

STEP 5|行政代執行(解体)

命令にも従わない場合、市区町村が代わりに解体等の措置を行い、費用を所有者に請求する(行政代執行)。

⚠️ 空き家の管理は相続直後から始まっている

「どうするか決まるまでとりあえず放置」は危険です。草木の繁茂・雨漏り・外壁の崩落が始まると、特定空き家指定のリスクが高まります。相続直後から定期的(月1回程度)に換気・清掃・草刈りなどの最低限の管理を行ってください。実家の処分方法(売却・賃貸・解体)の検討も早めに始めることを推奨します。

固定資産税の軽減・減免制度

住宅用地特例以外にも、固定資産税を軽減できる制度があります。相続した不動産に適用できるものがないか確認してください。

制度名 内容 申請先
新築住宅の軽減 新築後3〜5年間(長期優良住宅は5〜7年)、建物の固定資産税が1/2に軽減される。相続した建物が適用期間中の場合は引き続き適用。 市区町村(自動適用)
耐震改修に伴う軽減 昭和57年以前に建築された住宅を一定の耐震改修した場合、翌年の固定資産税が1/2に軽減(1年間)。相続後に改修した場合も適用可。 市区町村(申請が必要)
バリアフリー改修に伴う軽減 高齢者・障害者が居住する住宅のバリアフリー改修で翌年の固定資産税が1/3軽減(1年間)。工事後3ヶ月以内に申請が必要。 市区町村(申請が必要)
省エネ改修に伴う軽減 一定の省エネ改修工事を行った場合、翌年の固定資産税が1/3軽減(1年間)。工事後3ヶ月以内に申請。 市区町村(申請が必要)
災害被害の減免 自然災害で不動産が被害を受けた場合、被害の程度に応じて固定資産税が減免される。市区町村の申請が必要。 市区町村(申請が必要)
生活保護世帯等への減免 生活保護を受けている場合など、市区町村の条例で減免が認められることがある。要件は自治体によって異なる。 市区町村(申請が必要)

農地・山林を相続した場合の固定資産税

農地・山林を相続した場合は、一般の宅地とは異なる固定資産税の扱いになります。農業振興を目的とした軽減制度があります。

農地の固定資産税

農地の区分 評価方法 特徴
一般農地 農地としての収益性を基準に評価(宅地に比べて評価額が低い) 農業目的での利用が前提。農業委員会の許可なく転用は不可。
市街化区域内農地 宅地に準じた評価額(高くなる)。ただし、農地として農業委員会に認定された場合は軽減あり 「生産緑地」に指定されると30年間固定資産税が大幅に軽減(宅地化義務なし)

農地を相続した場合の注意点

  • 農地を相続する場合、農業委員会への届出(相続発生から10ヶ月以内)が必要
  • 農地を農業以外の用途に転用するには農業委員会または都道府県知事の許可が必要
  • 相続放棄した農地は国に帰属する(国庫帰属制度の利用も要件あり)
  • 農地の固定資産税は宅地より低いが、管理コスト(草刈り等)が発生する点に注意

山林の固定資産税

山林の固定資産税評価額は一般に低く、税額も少ない場合が多いですが、固定資産税以外のコスト(下草刈り等の管理費用)が発生することがあります。また、固定資産税の通知が来ていなくても非課税限度額以下の土地として課税されていない場合もあるため、市区町村で確認が必要です。山林の相続後は適切に管理し、固定資産税の課税状況を確認してください。

相続後の固定資産税を正しく管理するためのポイント

相続した不動産の固定資産税を適切に管理するために、以下のポイントを実践してください。

① 市区町村に相続の連絡をする

相続登記後、市区町村税務課に「固定資産税の納税義務者の変更届」を提出。翌年度から相続人宛に納税通知書が届くようになる。

② 評価額の内容を確認する

固定資産税評価証明書または縦覧制度(4〜6月)を活用して、評価額が適正かどうか確認する。誤りがあれば「固定資産評価審査申出」で異議を申し立てられる。

③ 空き家の管理を続ける

特定空き家・管理不全空き家に指定されないよう定期的に訪問・換気・清掃を行う。最低でも月1回の確認を。

④ 活用方法を早期に検討する

賃貸・売却・解体など活用方法を早期に検討し、放置期間を最短にする。固定資産税の負担と管理コストを考慮して判断する。

固定資産税と相続税・所得税の関係

固定資産税・相続税・所得税は、不動産を相続した際に絡み合う3つの税金です。それぞれの違いと関係を正しく理解することで、税務上の見落としを防ぐことができます。

3つの税金の違い

税金の種類 課税タイミング 課税対象 申告先
固定資産税 毎年(所有している間) 不動産の評価額に対して課税(保有税) 市区町村(申告不要、通知が来る)
相続税 相続発生時(1回のみ) 相続財産の総額(基礎控除超過分) 税務署(相続発生から10ヶ月以内に申告)
所得税(譲渡所得税) 不動産を売却したとき 売却益(売却価格−取得費−譲渡費用) 税務署(翌年3月15日までに確定申告)

固定資産税評価額と相続税評価額(路線価・倍率方式)の違い

よく混同されるのが「固定資産税評価額」と「相続税評価額(路線価・倍率方式)」です。これらは別の基準で計算されており、金額が異なります。

評価額の種類 使う税金 算定基準 時価との比率(目安)
固定資産税評価額 固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税 市区町村が3年ごとに算定 時価の約70%
相続税評価額(路線価方式) 相続税・贈与税 国税庁が毎年公示する路線価をもとに算定 時価の約80%
相続税評価額(倍率方式) 相続税・贈与税(路線価がない地域) 固定資産税評価額 × 国税庁が定める倍率 地域によって異なる

実務上のポイント

固定資産税評価額は「固定資産税・都市計画税・不動産取得税・相続登記の登録免許税」の計算に使います。相続税の申告には路線価(または倍率方式)を使います。相続後に不動産を売却した場合の譲渡所得税は、「売却価格−取得費(被相続人が取得したときの金額)−譲渡費用」で計算します。それぞれで参照する評価額が異なることを理解しておきましょう。

相続した不動産を賃貸に出した場合の固定資産税

相続した実家を賃貸に出すことを検討している場合、固定資産税への影響についても把握しておく必要があります。

賃貸に出した場合の固定資産税の扱い

項目 内容
住宅用地特例の継続適用 住宅として貸している場合でも「住宅用地」として認定されるため、住宅用地特例(1/6軽減等)は引き続き適用されます。
固定資産税は経費になる 賃貸収入がある場合、その不動産に係る固定資産税・都市計画税は「不動産所得の必要経費」として所得税の計算で控除できます。確定申告での計上を忘れずに。
納税義務者は所有者 固定資産税を支払うのは「所有者(相続人)」です。賃借人(借りている人)に固定資産税を転嫁することも契約上は可能ですが、慣行的には所有者負担とするケースが大半です。
駐車場・倉庫として貸す場合 建物を住宅以外(駐車場・倉庫・店舗)に転用すると、住宅用地として認定されなくなる可能性があります。用途変更時は市区町村に確認してください。

賃貸経営における固定資産税の年間コストシミュレーション

例:土地評価額1,500万円(120㎡)、建物評価額800万円の場合

土地の固定資産税(住宅用地特例1/6適用) 1,500万円 × 1/6 × 1.4% = 約3.5万円/年
建物の固定資産税 800万円 × 1.4% = 11.2万円/年
固定資産税合計(年額) 約14.7万円/年(月換算:約1.2万円)

※ 都市計画税・管理費・保険料・修繕費は別途。賃貸収入に対する確定申告で固定資産税全額を経費計上できます。

賃貸収入を得ながら固定資産税を経費にすることで、実質的なコスト負担を抑えることができます。空き家のまま放置して固定資産税だけを払い続けるよりも、賃貸活用のほうが経済的に有利なケースが多いです。ただし、賃貸経営にはリフォーム費用・仲介手数料・管理費なども発生するため、収支計画をしっかり立てた上で判断してください。

固定資産税評価額の確認と異議申し立ての手順

固定資産税評価額が実態に比べて高い、あるいは誤りがあると感じた場合は、正式な手続きで確認・異議申し立てを行うことができます。

評価額の確認方法

① 納税通知書を確認する

毎年4〜6月頃に届く固定資産税・都市計画税の納税通知書に、土地・建物ごとの評価額と税額が記載されています。まず通知書の記載内容を確認しましょう。

② 固定資産評価証明書を取得する

市区町村の窓口で「固定資産評価証明書」を取得できます。相続登記の手続きや融資時にも使用する書類です。手数料は1〜数百円程度。

③ 縦覧制度を利用する

毎年4月1日〜6月30日の縦覧期間中に、市区町村で固定資産課税台帳を閲覧できます。近隣不動産との評価額比較が可能です。

異議申し立て(固定資産評価審査申出)の手順

STEP 1|評価替え年度を確認する

評価額への異議申し立て(固定資産評価審査申出)は、評価替えの年の翌年4月1日から、納税通知書交付後3ヶ月以内に限られます。評価替えは3年ごと(2024年度が評価替え年度)。この期間を過ぎると申し立てができないため、評価額に疑問を感じたらすぐ動いてください。

STEP 2|市区町村の窓口で詳細説明を求める

正式な審査申出の前に、市区町村の固定資産税担当窓口で「評価額の算定根拠」の説明を求めることができます。担当者の説明で誤りが判明すれば、職権修正で是正されることもあります。

STEP 3|固定資産評価審査委員会に申し出る

市区町村に設置された「固定資産評価審査委員会」に書面で申し出を行います。審査委員会は第三者機関であり、評価の適否を判断します。申し出用紙は市区町村窓口またはHPで入手できます。

STEP 4|審査結果に不服なら行政不服申し立て・取消訴訟

審査委員会の決定に不服がある場合、行政不服申し立て(審査請求)または固定資産税の取消訴訟(行政訴訟)が可能です。費用対効果を考慮した上で専門家(税理士・弁護士)に相談することを推奨します。

評価額の見直しが有効なケース

  • 建物が老朽化・損傷しているのに評価額が高いまま
  • 近隣と比較して明らかに評価額が高い
  • 土地の形状(不整形地・袋地等)が適切に反映されていない
  • 用途変更(住宅→倉庫等)が評価に反映されていない
  • 建物の一部を取り壊したのに評価額が変わっていない

親の家を相続したときの固定資産税についてよくある質問

Q. 親が1月1日に亡くなりました。その年の固定資産税は誰が払いますか?

1月1日に亡くなった場合、その日が課税基準日です。1月1日時点の所有者は被相続人(亡くなった方)となるため、その年分の固定資産税は被相続人名義で課税されます。この税金は相続財産の債務として相続人が引き継ぎ、相続財産から支払います。翌年1月1日時点には相続人が所有者となるため(相続登記が完了していなくても)、翌年分から相続人が納税義務を負います。

Q. 相続した家を誰も住まずに維持している場合、固定資産税は変わりますか?

住宅が建っている土地については、適切に管理されている限り「住宅用地」として住宅用地特例(1/6〜1/3軽減)が引き続き適用されます。誰も住んでいなくても、建物が存在して適切に管理されていれば特例の対象外にはなりません。ただし、「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されると特例が外れ、税額が最大6倍になります。定期的な管理が重要です。

Q. 相続した家を解体(更地にする)と固定資産税はどうなりますか?

建物を解体して更地にした翌年から、住宅用地特例が適用されなくなります。そのため、土地の固定資産税が大幅に上がります(評価額2,000万円の土地なら約4.7万円→28万円)。売却予定があれば解体は売却前後に行う、または解体前に「空き家特例の3,000万円控除」や「相続空き家の特例」の適用要件を確認することが重要です。解体のタイミングは税務的な観点から慎重に検討してください。

Q. 固定資産税の評価額が高すぎると感じた場合、異議を申し立てられますか?

はい、申し立て可能です。「固定資産評価審査申出(固定資産評価審査委員会への申出)」という制度があります。評価替えの年(3年ごと)の翌年4月1日から納税通知書交付後3ヶ月以内に申し立てができます。また、毎年4〜6月の縦覧期間中に市区町村で固定資産課税台帳の縦覧(確認)ができます。評価額の根拠が不明な場合は市区町村の窓口で詳細説明を求めることが第一歩です。

Q. 相続を放棄した場合、固定資産税の義務もなくなりますか?

相続放棄をした場合、不動産の所有権は放棄者に帰属しないため、原則として固定資産税の納税義務もありません。ただし、相続放棄をしても相続財産が管理される状態になるまでは、「相続財産法人の管理義務」が生じる場合があります。民法改正(2023年4月施行)により、相続放棄後も不動産を現に占有している場合は管理義務が継続します。固定資産税そのものは放棄者に課されませんが、管理義務が発生することは知っておいてください。

田中由美からひと言

固定資産税で最も後悔が多いのは「空き家を放置して特定空き家に指定されてしまった」ケースです。私が銀行員時代に相談を受けたあるご家族は、遺産分割の話し合いが長引いて実家を2年間放置したところ、特定空き家の勧告を受け、その後の固定資産税が一気に跳ね上がってしまいました。決断が遅くなればなるほど、コスト(税金・管理費・将来の解体費)が積み上がります。相続後はできるだけ早く「使う・売る・貸す・解体する」の方向性を決めることが、固定資産税の観点からも最善策です。相続登記の手続きと並行して、不動産の活用方針を早めに検討しましょう。

この記事のまとめ

この記事で解説した重要ポイントを最後に確認しましょう。

【相続した家の固定資産税 最終チェックリスト】

  • 固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税される
  • 相続登記(名義変更)が済んでいなくても相続人に納税義務が発生する
  • 相続後は市区町村の税務課に固定資産税の名義変更通知(異動届)を行う
  • 住宅が建っている土地には住宅用地特例(200㎡以下は1/6軽減)が適用される
  • 「特定空き家」「管理不全空き家」に指定されると固定資産税が最大6倍になる
  • 空き家の指定を防ぐには定期的な管理(月1回以上)が必須
  • 建物を解体して更地にすると翌年から住宅用地特例が外れる(税額が大幅増)
  • 農地を相続した場合は農業委員会への届出(10ヶ月以内)が必要
  • 固定資産税評価額が高いと感じたら固定資産評価審査申出で異議申し立てができる
  • 空き家の活用方針(売却・賃貸・解体)はできるだけ早期に決断することが重要

固定資産税は毎年かかる費用だからこそ、早めの対処が長期的なコスト削減につながります。

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