市区町村役場での相続手続き|戸籍・住民票の取り方を元銀行員AFPが解説

相続税

City Hall Inheritance Guide

市区町村役場での相続手続き
戸籍・住民票の取り方を元銀行員AFPが解説

死亡届・戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・年金停止など
役場でやること全てを完全ガイド

死亡届・火葬許可証 戸籍謄本の取り方 年金・健康保険停止

「役場でどの書類を何枚取ればいいの?」「戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?」「死亡届はいつまでに誰が出すの?」——相続手続きの多くは市区町村役場(市役所・区役所・町村役場)での書類取得から始まります。役場では死亡届の提出から戸籍謄本・住民票・印鑑証明書の取得、年金や健康保険の停止手続きなど、実に多くの手続きが必要です。この記事では元銀行員でAFP・相続診断士の田中由美が、役場でやるべきこと全てを時系列順・手続き別に分かりやすく解説します。

田中由美より(AFP・相続診断士・元銀行員)

相続手続きで役場に行く回数は思ったより多く、「また役場に行かなきゃ」「窓口が違う」「必要な書類が分からなかった」という声をよく聞きます。事前にどの窓口で何を申請するかを把握しておくだけで、無駄な往復を減らせます。また2024年3月から導入された「戸籍の広域交付制度」により、全国どの市区町村役場でも戸籍謄本を取得できるようになりました。この制度を上手に使うことで書類収集の手間を大幅に減らすことができます。この記事でしっかり準備してから役場へ行きましょう。

相続発生後に役場でやること:時系列まとめ

人が亡くなってから役場で必要な手続きは複数あり、時期によって異なります。まず全体の流れを把握しましょう。

時期 手続き内容 期限 窓口
死亡直後 死亡届・火葬(埋葬)許可申請 死亡を知った日から7日以内 市民課・戸籍課
2週間以内 国民健康保険の停止・返却、葬祭費申請 できるだけ早く 保険年金課
10日以内 年金受給停止の手続き(年金事務所経由) 死亡後14日以内(国民年金)・10日以内(厚生年金) 市民課・年金事務所
相続手続き時 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の取得 期限なし(早めに) 市民課・戸籍課
相続手続き時 住民票の除票・相続人の住民票取得 期限なし 市民課
相続手続き時 印鑑登録証明書の取得 期限なし(遺産分割協議書に必要) 市民課
相続手続き時 固定資産評価証明書・名寄帳の取得 相続登記前に取得 資産税課
必要に応じて 遺族年金・未支給年金の申請 5年以内(時効あり) 年金事務所・市民課

死亡届の提出:最初にやるべき最重要手続き

死亡届は人が亡くなったことを法的に確認する最初の手続きです。死亡届を提出しないと火葬もできません。

提出期限

死亡を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3ヶ月以内)。期限を過ぎると5万円以下の過料の対象になる可能性あり。

提出先

死亡地・届出人の住所地・本籍地のいずれかの市区町村役場。24時間365日受付(夜間・休日は宿直担当者が受け付ける)。

届出人

同居の親族・その他の同居者・家主など。実際には葬儀社が代理で手続きしてくれることが多い。

必要書類

①死亡届(A3判・右半分が死亡診断書)②医師が記載した死亡診断書③届出人の印鑑(認印可)④火葬場所が決まっていれば火葬場名。

大切なポイント

死亡診断書は医師が発行するもので、死亡届の右半分に印刷されています。死亡診断書のコピーは後で相続手続きや保険申請に使うことがあります(原本は役場に提出するため返ってきません)。提出前に必ずコピーを数枚取っておきましょう。

戸籍謄本の種類と取り方:相続で必要な書類を完全網羅

相続手続きで最も時間がかかるのが戸籍謄本の収集です。被相続人の「出生から死亡まで」の全ての戸籍が必要で、複数の役場から取り寄せることになります。なぜ出生まで遡る必要があるかというと、「認知していた子(非嫡出子)」「前婚の子」などが戸籍上に現れる可能性があり、全ての相続人を正確に把握するためです。相続人の確認が不完全だと遺産分割協議が無効になるリスクがあるため、この作業は非常に重要です。

書類名 内容 費用(1通) いつ必要か
戸籍謄本(全部事項証明書) 現在の戸籍の全員分の記載 450円 被相続人の現在の戸籍・相続人の戸籍
除籍謄本 戸籍の全員が除籍(死亡・転籍等)した後の戸籍 750円 被相続人が過去に属していた戸籍の取得時
改製原戸籍(はらこせき) 法改正で書き直す前の古い戸籍 750円 戸籍の改製がされた年代を跨ぐ場合に必要
戸籍抄本(個人事項証明書) 戸籍の一部(特定の人)の記載 450円 パスポート申請等(相続には原則謄本が必要)
戸籍の附票 その戸籍に在籍した期間の住所の変遷 300円 住民票の除票が取れない場合の代替書類

2024年3月から「戸籍の広域交付制度」スタート

2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍謄本が取得できる「広域交付制度」が始まりました。以前は「本籍地のある役場に郵送請求」か「現地に行く」しかありませんでしたが、今は全国どこの市役所でもまとめて取得できます。ただしコンビニ交付には対応していないこと、改製原戸籍は広域交付対象外の場合があること、代理人は広域交付を利用できない(本人申請のみ)ことに注意が必要です。また請求時には本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)の提示が必要です。広域交付を利用する際は「相続のために被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要です」と窓口担当者に伝えると、どの書類を申請すればよいか案内してもらえます。

戸籍謄本を確認する日本人のイメージ

相続登記の必要書類(役場で取得する分)

相続登記(法務局)に必要な書類のうち、役場で取得するものをまとめました。何をどこで何枚取るかを事前にリストアップしておくと効率的です。

被相続人に関する書類

  • 戸籍謄本(出生から死亡まで全ての連続した戸籍)
  • 住民票の除票(本籍地記載のもの)

※戸籍は転籍のたびに分断される。転籍回数が多いほど取得枚数が多くなる

相続人全員に関する書類

  • 戸籍謄本(被相続人との関係が分かるもの)
  • 印鑑証明書(遺産分割協議書に捺印する場合)

※印鑑証明書は有効期限が3ヶ月(機関によって異なる)のため提出直前に取得

不動産に関する書類

  • 固定資産評価証明書(登録免許税計算に必要)
  • 名寄帳(故人が所有する全不動産を一覧で把握できる)

※名寄帳は相続人・代理人でも取得可能。不動産が抜け漏れないか確認できる

住民票・印鑑証明書の取り方

相続手続きで役場から取得する書類の中でも、住民票と印鑑証明書は複数の場面で必要になります。取得方法と注意点を確認しましょう。

書類名 費用 取得方法 注意点
住民票(相続人) 200〜300円/通 窓口・郵送・コンビニ(マイナンバー利用) 本籍地記載のものが必要な場合は「本籍記載」を指定
住民票の除票(被相続人) 200〜300円/通 住所地の市区町村窓口・郵送 死亡後に住民登録が消えた後に発行される書類。本籍地記載版が必要
印鑑証明書(相続人) 200〜300円/通 住所地の市区町村窓口・コンビニ(マイナンバー利用) 印鑑登録していない場合は事前に印鑑登録が必要。有効期限に注意
固定資産評価証明書 200〜400円/通 不動産所在地の市区町村資産税課 相続登記申請年度の評価証明書が必要。毎年4月1日以降に最新年度版が取得可能
名寄帳(固定資産課税台帳) 300〜500円程度 不動産所在地の市区町村資産税課 相続人であることを証明できる戸籍が必要。故人の全不動産を把握するのに有効

年金・健康保険の停止手続き:期限と手順

人が亡くなった後は、年金や健康保険の停止手続きも必要です。手続きを怠ると、亡くなった後も年金が振り込まれ続け、後で返還を求められることがあります。特に年金は2ヶ月に1回後払いで支払われるため、死亡月の分がすでに振り込まれているケースが多く、返還を求められることがあります。過払い状態が続くと「不正受給」とみなされる場合もあるため、できるだけ早急に対応しましょう。マイナンバーを活用した年金停止の自動化も進んでいますが、確認は必ず手動でも行いましょう。

国民年金の停止

期限:死後14日以内

市区町村の年金担当窓口または年金事務所へ。「国民年金受給権者死亡届」を提出。必要書類:死亡診断書(コピー可)・年金証書・届出人の身分証。

厚生年金の停止

期限:死後10日以内

年金事務所または「ねんきんダイヤル」へ。「厚生年金保険受給権者死亡届」を提出。マイナンバー連携で自動停止されるケースも増えてきている。

国民健康保険の停止

期限:死後14日以内

市区町村の保険年金課へ。被保険者証(保険証)を返却し、資格喪失届を提出。葬祭費(5万円前後)の申請も同時に行うと良い。

後期高齢者医療保険の停止

期限:死後14日以内

市区町村の保険年金課へ。75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の資格喪失届を提出。保険証の返却も必要。葬祭費支給の申請もあわせて行う。

相続で必要な書類の枚数の目安:何枚取ればいい?

「何枚取ればいいか分からない」という相談が非常に多いです。以下は一般的なケースでの目安です。実際には手続き機関の数・相続人の数・遺産の内容によって変わります。少し多めに取っておくと安心です(余った場合は使わなければいいだけです)。なお「法定相続情報一覧図」を作成すれば、戸籍謄本の束を提出する代わりに1枚の認証付き写しで対応できる機関が増えているため、先に一覧図を作成することを強くお勧めします。事前に手続き先の機関へ「法定相続情報一覧図で対応できますか?」と確認するとより確実です。

書類名 目安枚数 主な提出先 節約のコツ
被相続人の戸籍謄本一式 各1〜2部ずつ 法務局・銀行・証券会社・年金機構など 法定相続情報一覧図を作れば以降は1枚で代替可能
住民票の除票(被相続人) 2〜3通 法務局・保険会社など 法定相続情報一覧図に住所を記載すると代替できる場合も
相続人の戸籍謄本 各1〜3通 法務局・銀行・証券会社など 法定相続情報一覧図で代替可能(機関による)
相続人の住民票 各1〜2通 法務局(不動産を相続する人のみ)・銀行など コンビニ交付で随時取得できるため多めに取らなくてもよい
印鑑証明書(相続人) 各1〜3通 法務局・銀行・証券会社(遺産分割協議書に必要) 有効期限があるため提出直前に取得すること
固定資産評価証明書 不動産ごとに1通 法務局(相続登記) 固定資産税通知書で代替できる場合も(法務局に確認)

法定相続情報一覧図を活用すると書類収集の手間が大幅に減る

銀行・証券会社・法務局・年金機構など複数機関に戸籍謄本を何度も提出するのは大変です。「法定相続情報一覧図」(法務局で認証してもらう一覧図)を作れば、1枚の認証付き写しで戸籍謄本の代替として使えます。複数機関で手続きする場合は必ず活用しましょう。詳しくは法定相続情報一覧図の作り方と活用メリットの記事をご参照ください。

役場での相続手続きの流れを説明するイメージ

田中由美が経験した役場での相続手続きの実体験

田中由美(AFP・相続診断士・元銀行員)の実体験

私が実際に相続手続きに関わったケースで一番多い失敗は「戸籍謄本が足りなかった」というものです。被相続人が複数回転籍していた場合、出生まで遡る戸籍の数が非常に多くなります。転籍のたびに「どこで取るか」が変わり、すべての本籍地から戸籍を取り寄せる必要があります。広域交付制度(2024年3月〜)の登場でこの問題はかなり改善されましたが、改製原戸籍の一部は依然として本籍地での取得が必要なケースがあります。

また「住民票の除票は本籍地記載のものを取ってください」と伝えても、「普通の除票」を取ってきてしまう方が多いです。法務局での相続登記には本籍地の記載が必要なため、窓口で「本籍地を記載してください」と明確に伝えることが大切です。役場の窓口では「何に使うか」を伝えると、担当者が必要な書類を案内してくれることが多いので、「相続手続きに使います」と伝えることをお勧めします。

遺族年金・未支給年金の申請:見落としがちな重要手続き

年金の停止手続きと同時に、受け取れる可能性がある「遺族年金」や「未支給年金」の申請も忘れずに行いましょう。これらは「申請しないと受け取れない」給付です。年金機構から自動的に振り込まれることはなく、遺族が自ら申請しなければ一切受け取れません。特に未支給年金は5年の時効がありますが、遺族年金は原則として5年を超えた分は受け取れなくなるため、できるだけ早く申請することが重要です。配偶者が亡くなった場合は遺族厚生年金の対象になるケースが多く、長期にわたって受け取れる給付であることから、金額的に見ても非常に重要な申請です。

未支給年金

亡くなった月まで受け取るはずだった年金のうち、まだ振り込まれていない分を「未支給年金」と言います。年金は2ヶ月に1回後払いで支払われるため、亡くなった月の分が未払いになっていることが多いです。

請求先:年金事務所または市区町村窓口
期限:5年以内(時効あり)
受け取れる人:配偶者→子→父母などの順で優先

遺族基礎年金

国民年金加入者(または老齢基礎年金受給者)が亡くなった場合、18歳未満の子がいる配偶者または子に支給される年金です。子の加算もあります。

請求先:市区町村窓口
対象:18歳到達年度末まで(障害の場合20歳未満)の子がいる場合
金額:年額約79万円+子の加算

遺族厚生年金

厚生年金加入者(または老齢厚生年金受給者)が亡くなった場合、配偶者・子・父母・孫・祖父母に支給される年金です。子がいなくても配偶者は対象になります。

請求先:年金事務所
金額:老齢厚生年金額の3/4相当
対象:配偶者(妻は年齢制限なし、夫は55歳以上)など

役場での書類取得をスムーズにする5つのコツ

① 取得書類リストを作ってから行く

どの機関に何の書類が何枚必要かを事前にリスト化。不動産があれば相続登記用・銀行手続き用・法定相続情報一覧図用で複数枚必要になるため枚数も確認してから役場へ。

② 「相続手続きに使います」と伝える

用途を伝えることで窓口担当者が必要なオプション(本籍地記載・世帯全員分など)を案内してくれる。曖昧な要求より「相続手続き用」と明確に伝えることが大切。

③ 郵送請求を活用する

遠方の本籍地の戸籍は郵送で請求できる。定額小為替(ゆうちょ銀行で購入)を同封して送る。広域交付制度が使える書類は近くの役場でまとめて取得するとさらに効率的。

④ マイナンバーカードを活用する

コンビニ交付(住民票・印鑑証明書等)はマイナンバーカードがあれば24時間・全国のコンビニで取得可能。窓口より早くて安い(コンビニは1通100円引き程度)。

⑤ 死亡診断書のコピーを先に取っておく

死亡届提出前に死亡診断書のコピーを必ず複数枚取っておく。原本は役場に提出すると返ってこない。生命保険の申請・年金停止・公共料金解約などで必要になることがある。

郵送で戸籍を請求する方法:遠方の本籍地がある場合

被相続人が転籍を繰り返していた場合、複数の市区町村から戸籍を取り寄せる必要があります。広域交付制度で対応できない改製原戸籍などは、郵送で本籍地に請求する必要があります。

郵送請求の手順(戸籍謄本の場合)

STEP 1:請求先の役場を特定する
被相続人の出生から死亡までの本籍地を把握し、それぞれの市区町村を特定する。「最後の戸籍(現在の本籍地)→一つ前の本籍地→…→出生地」という順で遡る。最初の1通(現在の戸籍)を取得すると、どこから転籍してきたかが記載されているため、それを手がかりに遡る。

STEP 2:請求書を作成する
各市区町村のHPから「戸籍請求書」書式をダウンロードするか、便箋に「請求書」として①請求者の氏名・住所・電話番号②被請求者(故人)の氏名・生年月日・最後の本籍③請求の目的(相続手続きのため)④必要な戸籍の種類を記載する。

STEP 3:手数料を用意する
定額小為替(ゆうちょ銀行・郵便局で購入)を同封する。1通450〜750円分の小為替を用意するが、何通必要か不明な場合は多めに同封して「お釣りがあれば返却してください」と依頼するか、役場に電話で枚数を確認する。手数料が定かでない場合、50円〜100円の余裕を持った額にする。

STEP 4:本人確認書類のコピーを同封する
請求者の運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど本人確認書類のコピーを同封する。また請求人と被相続人の関係を証明するために、自分の戸籍謄本(被相続人との続柄が分かるもの)のコピーも同封すると手続きがスムーズになる。

STEP 5:返信用封筒を同封して発送する
切手を貼った返信用封筒を同封する。到着まで通常1〜2週間かかる。複数の役場に同時に発送すると効率的。書留(追跡あり)で送ることで、郵便事故のリスクを低減できる。

役場でのその他の手続き:介護・障害・補助など

相続に直接関係はありませんが、被相続人に関わる各種サービス・証明書の返却・停止なども役場で対応が必要です。これらの手続きを忘れると、後から役場から連絡が来たり、過払いの給付金を返還しなければならないケースが生じることがあります。漏れがないよう確認しましょう。また、被相続人が各種サービスを受けていた場合、担当のケアマネジャーや福祉事務所にも連絡が必要なケースがあります。

手続き 窓口 内容 期限
介護保険証の返却 介護保険課 65歳以上が持つ介護保険被保険者証を返却し、資格喪失届を提出。 14日以内
障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の返却 福祉課・障害福祉課 各手帳を返却する。療育手帳も同様に返却が必要。 できるだけ早く
マイナンバーカードの返納 市民課 マイナンバーカードは市区町村に返納する(持参するか郵送)。 速やかに
住民税の確認 税務課 死亡した年の住民税は相続人が支払い義務を負う場合がある。残額を確認する。 納期限まで
乳幼児・こども医療費受給者証の返納 子育て支援課等 亡くなったのが乳幼児・子どもの場合に返納。 速やかに

名寄帳で不動産を漏れなく把握する方法

相続手続きで見落とされがちなのが「不動産の把握漏れ」です。固定資産税の通知書が来ない・地価が低い・昔から名義のまま放置されていた土地など、知らない不動産が後から出てくることがあります。「そんな土地知らない」という相続人も多いですが、実際には被相続人の親や祖父から受け継いだ山林・農地・空き地が残っていることがよくあります。こうした不動産を把握しないまま相続手続きを完了させると、後から相続登記の漏れが発覚し、追加手続きが必要になります。名寄帳(固定資産課税台帳)を取得すると、その市区町村内で故人が所有するすべての不動産を一覧で確認できます。

名寄帳とは

固定資産税の課税台帳のうち、特定の所有者が持つ全不動産を一覧にしたもの。土地・家屋の所在地・地番・地積・評価額などが記載されており、固定資産税通知書より詳細な情報が得られる。非課税の不動産(農地・山林など)も記載されている点が大きなメリット。

取得方法と注意点

不動産が所在する市区町村の資産税課に申請する。名義人(故人)の戸籍謄本・自分の身分証・相続関係が分かる書類が必要。費用は市区町村によって異なるが概ね300〜500円程度。不動産が複数の市区町村にある場合は、それぞれの役場で別々に申請が必要なため注意。

名寄帳で分かること・分からないこと

【分かること】故人名義の全土地・建物の所在・地番・評価額・面積・課税区分(非課税の農地・山林も含む)
【分からないこと】共有持分の詳細・抵当権・担保設定・借地権・地上権など。権利関係の詳細は法務局での「登記事項証明書」取得が必要。不動産が複数の市区町村にある場合は各自治体で個別に取得すること。

役場への相続関連Q&A

Q. 被相続人の戸籍を取るのに全部の本籍地に行かなければなりませんか?

A. 2024年3月から「広域交付制度」が始まり、全国どこの市区町村窓口でも戸籍謄本・除籍謄本などを取得できるようになりました。自分の住所地の役場でまとめて取得できるので、以前より大幅に手間が減りました。ただし改製原戸籍は広域交付の対象外となっている場合があります(システムへの入力状況による)。また郵送請求も引き続き利用可能です。まずは近くの役場で「広域交付制度を使って相続に必要な戸籍一式を取得したい」と伝えてみてください。

Q. 印鑑登録していない場合、急いで登録する必要がありますか?

A. 遺産分割協議書への実印押印・印鑑証明書の提出が必要な場合は、印鑑登録が必要です。印鑑登録は住所地の市区町村窓口で手続きできます。登録には①印鑑(シャチハタ不可)②本人確認書類(運転免許証など)が必要で、即日登録できることが多いです(保証人制度を使う場合は当日可能。保証人なしで照会書を使う場合は数日かかる)。なお、相続人の中に「遺産分割協議書に同意したくない」という人がいる場合、その人の印鑑証明書は取得できません。その場合は別の解決手段(調停・審判)が必要です。

Q. 役場での相続手続きは代理人でもできますか?

A. 多くの書類は代理人による取得が可能です。ただし代理の場合は①委任状②委任者の身分証明書のコピー③代理人本人の身分証明書が必要です。なお戸籍の「広域交付制度」は本人申請のみで代理人は利用できません。印鑑証明書はコンビニ交付(マイナンバーカード利用)ならば本人が遠方でも取得できます。死亡届は法律上代理申請も認められていますが、実際は葬儀社が代行してくれることがほとんどです。

Q. 役場でもらえる「葬祭費」「埋葬料」はどのくらいもらえますか?

A. 国民健康保険加入者が亡くなった場合の「葬祭費」は市区町村によって異なりますが、多くは3〜7万円程度(市区町村によって5万円が多い)です。後期高齢者医療保険加入者の場合は「葬祭費」として5万円が多数。健康保険(会社員の保険)の場合は「埋葬料」として5万円が支給されます。いずれも申請しないと受け取れないので、保険証の返却時に同時に申請しましょう。申請期限は2年以内が多いですが、できるだけ早めに申請することをお勧めします。

この記事のまとめ

市区町村役場での相続手続きまとめ

  • 死亡届は死後7日以内に市区町村役場へ(火葬のためにも必須・24時間受付)
  • 死亡診断書のコピーを事前に5枚以上取っておくこと(原本は役場に提出後返却されない)
  • 戸籍謄本は2024年3月から「広域交付制度」で全国どこの役場でも取得可能
  • 相続登記には「本籍地記載」の住民票の除票が必要(通常版では不可)
  • 印鑑証明書は有効期限があるため、遺産分割協議書提出直前に取得する
  • 年金停止(国民年金14日以内・厚生年金10日以内)を忘れると過払い年金の返還が必要になる
  • 葬祭費・埋葬料(3〜7万円程度)は申請しないと受け取れないので忘れずに
  • 未支給年金・遺族年金の申請も見落としがちな非常に重要な手続き
  • 名寄帳を取得すると故人が所有する全不動産を漏れなく把握できる
  • 遠方の本籍地の戸籍は郵送で請求可能(定額小為替+請求書+返信用封筒を同封)
  • 介護保険証・障害者手帳・マイナンバーカードなど各種証明書の返却も忘れずに
  • 書類取得時には「相続手続きに使います」と窓口に伝えると適切な案内を受けられる

役場での手続きは種類が多く「また来なければ」という状況になりがちです。できるだけ1回の訪問で複数の手続きをまとめて行えるよう、事前に窓口と必要書類を確認してから足を運びましょう。「何に使うか」を担当者に伝えることが、スムーズな手続きへの近道です。また戸籍収集の広域交付制度(2024年3月〜)・コンビニでの住民票・印鑑証明書の取得(マイナンバーカード利用)など、近年は相続手続きを便利にする仕組みが整ってきています。これらを上手に活用して、役場への訪問回数を最小限に抑えながら効率的に手続きを進めましょう。複数機関での書類提出が必要な場合は、法定相続情報一覧図を早めに作成することが手続き全体の効率化につながります。

役場での相続手続きは種類が多いですが、一つひとつ丁寧に対応することで確実に完了できます。分からないことがあれば遠慮なく窓口担当者に質問し、「相続手続きに必要です」と伝えれば親切に案内してもらえます。早めの行動が手続き全体のスムーズな進行につながります。田中由美のような専門家への相談も、迷ったときの重要な選択肢です。

タイトルとURLをコピーしました