遺言書が見つかったらまず何をすべき?開封・検認・執行の正しい手順

故人の遺言書を発見した相続人|封筒を手に持つ 遺言書

相続 × 遺言書

遺言書が見つかったら
まず何をすべき?

開封してはいけない——その理由と、
検認・執行まで正しく進めるための手順を解説します。

開封NG 検認の手順 遺言執行の流れ

親が亡くなった後、遺品の整理をしていると封筒に入った「遺言書」が見つかった——そのとき、どうすればよいか分からなくて焦る方は少なくありません。「すぐに開けて確認したい」「中身を見てから専門家に相談しよう」と思っても、法律上、開封してはいけない遺言書があります。間違えると5万円以下の過料(ペナルティ)が科されることもあります。この記事では、遺言書が見つかったときに最初にすべきこと・検認の手順・遺言執行の流れまで、順を追って丁寧に解説します。

著者より

ある月曜の朝、50代の男性から電話がありました。「父が先週亡くなって……遺言書が出てきたんですが、もう開けてしまいました」。
封筒の中身を確認したのは昨日のこと。電話口の男性は「まさか開けてはいけないとは知らなかった」と繰り返しました。自筆証書遺言を検認前に開封してしまうと、民法上は5万円以下の過料が科される場合があります。
「開けてしまった後はどうすればいいですか」という問いに、「家庭裁判所に相談してください」と答えながら、私は「この情報が事前に届いていれば」と思わずにはいられませんでした。
遺言書を見つけた瞬間、何をすべきか——それを知っていれば、多くの混乱が防げます。
— 田中由美(AFP・相続診断士・元銀行員)

遺言書が見つかったら:最初の3つのステップ

焦らず、まずこの3つを確認してください。

STEP 1 封を開けない(封がされている場合)

自筆証書遺言・秘密証書遺言が封入されている場合、家庭裁判所での検認が終わるまで絶対に開封しないこと。封を開けると5万円以下の過料が科される場合があります(民法1004条3項)。すでに開封してしまった場合でも、遺言書自体は有効である可能性があります。家庭裁判所に相談してください。

STEP 2 遺言書の種類を確認する

遺言書には3種類あり、種類によって次の手順が異なります。封筒の表書き・外観から「自筆か公正証書か」を確認します。公正証書遺言は封がされていないことが多く、公証役場の名前が入っています。法務局への保管証が同封されていれば法務局保管の自筆証書遺言です。

STEP 3 検認が必要かどうかを判断する

検認が必要な遺言書は、速やかに家庭裁判所に申立てを行います。検認が不要な遺言書(公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言)はそのまま遺言執行の手続きに進めます。

検認が必要な遺言書・不要な遺言書

検認とは、家庭裁判所が遺言書の現状を確認・保全する手続きです。遺言書が偽造・改ざんされていないことを記録する目的で行われます。注意点として、検認は遺言書の有効性を判断する手続きではありません。検認が終わっても、形式不備・遺言能力の問題があれば無効となる場合があります。

遺言書の種類 検認 理由
自筆証書遺言(自己保管) 必要 民法1004条1項
自筆証書遺言(法務局保管) 不要 法務局が保管・記録しているため(遺言書保管法11条)
公正証書遺言 不要 公証役場が原本を保管しているため(民法1004条3項)
秘密証書遺言 必要 民法1004条1項(自己保管されているため)

⚠ 開封してしまった場合でも遺言書は有効なことがある

検認前に開封しても、遺言書の内容自体は無効にはなりません(最判昭36・6・22)。ただし5万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります。開封してしまった場合でも、遺言書は大切に保管し、速やかに家庭裁判所に検認の申立てを行ってください。銀行・法務局でも「検認を受けていない遺言書では手続きできない」と言われる場合があります。

検認が不要な場合の手続き:公正証書遺言・法務局保管

公正証書遺言が見つかった場合

公正証書遺言は、すぐに内容を確認し遺言執行の手続きに移れます。原本は公証役場に保管されているため、手元にある遺言書(正本または謄本)を使って各種手続きを進めます。

💡 公正証書遺言の原本を紛失した場合

公正証書遺言は作成した公証役場(または全国の公証役場)で「遺言書の検索」ができます(公証人連合会の遺言検索システム)。相続人であることを証明できる書類(戸籍謄本等)を持参すれば、作成した公証役場で謄本を再取得できます。2000年以降に作成した遺言書はコンピュータで管理されているため、全国どこの公証役場でも検索可能です。

法務局保管の自筆証書遺言が見つかった場合

遺言者が法務局保管制度を利用していた場合、死後に相続人・受遺者・遺言執行者は「遺言書情報証明書」を取得することで、遺言書の内容を確認できます(遺言者の生前は本人のみ閲覧可)。

手続き 内容 費用
遺言書保管事実証明書の取得 遺言書が法務局に保管されているかを確認する証明書 800円/通
遺言書情報証明書の取得 遺言書の内容を記載した証明書(遺言執行に使用) 1,400円/通
相続人等への通知 相続人が証明書を取得した場合、法務局が他の相続人・受遺者に遺言書の存在を通知 無料

検認申立ての手順:自筆証書遺言・秘密証書遺言

自筆証書遺言(自己保管)または秘密証書遺言を発見した相続人は、速やかに家庭裁判所に検認の申立てを行います。

STEP 1 管轄の家庭裁判所を確認する

申立て先は故人(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。裁判所の管轄は裁判所ウェブサイトで確認できます。

STEP 2 必要書類を準備する
  • 遺言書(封入されたまま)
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
  • 申立人(相続人)の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 申立書(裁判所の書式)
  • 収入印紙800円・郵便切手(裁判所指定の額)
STEP 3 家庭裁判所に申立てを行う

申立書と必要書類を窓口に提出します(郵送も可)。申立てから検認期日(実施日)の通知まで、通常1〜2ヶ月かかります。検認期日は家庭裁判所から相続人全員に通知されます(全員出席は不要)。

STEP 4 検認期日に出席する

家庭裁判所で裁判官・書記官・出席した相続人の前で封を開け、遺言書の状態(筆跡・日付・押印・ページ数等)を確認します。この手続きが「検認」です。出席できない相続人がいても検認は実施されます

STEP 5 検認済証明書を取得する

検認後、家庭裁判所から「検認済証明書」が発行されます(150円)。遺言書と検認済証明書がセットで「遺言執行に使える状態」になります。銀行や法務局での手続きにはこのセットが必要です。

検認の概要 内容
申立人 遺言書を発見した相続人(誰でも可)
申立先 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
費用 収入印紙800円+郵便切手(裁判所指定額)+検認済証明書150円
期間 申立てから検認期日まで1〜2ヶ月程度
検認の意味 遺言書の現状を保全する手続き。有効性の判断ではない

検認後の遺言執行:相続手続きの進め方

検認が終わったら(または検認不要の場合は発見後すぐに)、遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。相続手続きの全体的な流れも確認しながら進めましょう。

遺言執行者が指定されている場合

  • 遺言執行者に就任を通知・依頼する
  • 遺言執行者が相続人全員に就任を通知
  • 遺言執行者が各手続き(銀行解約・不動産名義変更等)を代行
  • 遺言執行者の報酬は遺言書で定めるか、家庭裁判所が定める

遺言執行者が指定されていない場合

  • 相続人自身で各手続きを進める
  • 家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てることもできる
  • 不動産の名義変更は法務局へ申請
  • 預金解約・名義変更は各金融機関へ申請

遺言執行に必要な主な手続き一覧

財産の種類 手続き先 必要書類(主なもの)
不動産 法務局(相続登記) 遺言書+検認済証明書・戸籍謄本・住民票・固定資産評価証明書
預貯金 各金融機関 遺言書+検認済証明書・戸籍謄本・通帳・届印
株式・投資信託 証券会社 遺言書+検認済証明書・戸籍謄本・相続人の口座情報
自動車 陸運局 遺言書+検認済証明書・戸籍謄本・車検証・印鑑証明書
生命保険(受取人指定あり) 各保険会社 遺言書不要(受取人が直接請求)・死亡診断書・戸籍謄本

遺言書の内容に問題がある場合

遺言書が見つかっても、その内容に納得できない・法律上問題があると思われる場合は、いくつかの対応策があります。

① 遺留分を侵害されている場合

「全財産を長男に」など、他の相続人の遺留分を侵害する内容の遺言書であっても、遺言書自体は有効です。ただし、遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求を行う権利があります。請求できる期間は「侵害を知った日から1年以内」または「相続開始から10年以内」です。この期間を過ぎると消滅時効になるため、早めに弁護士・司法書士に相談してください。

② 遺言書が無効と思われる場合

形式不備・遺言能力の問題・強迫・詐欺・偽造と疑われる場合、遺言書の無効を主張できます。遺言無効確認の訴えを家庭裁判所ではなく地方裁判所(通常裁判)に提起することになります。まずは弁護士に相談し、遺言書の有効性について専門家の見解を聞くことをおすすめします。

③ 複数の遺言書が見つかった場合

複数の遺言書が存在する場合、日付が新しいものが優先されます(民法1023条)。矛盾しない部分については両方の遺言書が有効です。どちらが新しいかが判断できるよう、必ず日付を確認してください。複数の遺言書がある場合は、すべての遺言書について検認申立てが必要です。

遺言書発見後にやってはいけないこと

遺言書が見つかった直後の行動が、後のトラブルを防ぐかどうかを左右します。次のことは絶対に避けてください。

やってはいけないこと リスク・理由 正しい対応
検認前に封を開ける 5万円以下の過料。開封したことを他の相続人から追及される 封のまま保管し、家庭裁判所で検認を受ける
遺言書の内容を他の相続人に黙っている 遺言書の内容が有利な相続人が先に手続きを進め、後で争いになる。背信行為として信頼を失う 発見したことを速やかに相続人全員に伝える
遺言書の内容を「見なかった」ことにする 遺言書の内容に沿った相続手続きを無視して遺産分割協議をすると、後に発覚した場合に全手続きが無効になる可能性がある 有効な遺言書がある場合は原則としてその内容が優先される
遺言書を破棄・改ざんする 刑事上の罪(文書偽造・証拠隠滅)になる可能性がある。相続人の欠格事由(民法891条)に該当し相続権を失う場合がある 内容に不服がある場合は弁護士に相談し法的手段を取る
故人の財産を勝手に処分・使用する 遺言書で別の相続人に指定されていた財産を処分すると、損害賠償を請求される可能性がある。単純承認とみなされ相続放棄ができなくなる場合も 遺言書の内容が確認できるまで財産に手をつけない
遺言書の内容だけで相続税の計算をして手続きを進める 遺言書に記載されていない財産・負債・生命保険等も相続税の計算に含める必要がある。見落としで追徴課税になる 全財産の調査を行った上で税理士に相談する

遺言書発見から遺言執行完了までのタイムライン

遺言書の発見から各手続きの完了まで、実際にどの程度の時間がかかるかを整理します。特に検認申立ての期間と相続税申告の期限は必ず把握しておきましょう。

時期の目安 やること 期限・注意点
発見直後 遺言書の種類を確認。封がある場合は開けない。相続人全員に発見を連絡 開封しないよう注意
発見から1〜2週間 検認申立て(自筆証書・秘密証書の場合)。公正証書の場合は遺言執行者に連絡し手続き開始 相続放棄の3ヶ月期限が迫っている場合は優先
申立てから1〜2ヶ月後 検認期日(家庭裁判所で実施)。検認済証明書を取得 期日は裁判所から通知。全員出席不要
検認後〜相続開始から10ヶ月 銀行解約・不動産名義変更・株式名義変更等の遺言執行手続きを進める。相続税申告・納税 相続税申告の期限:相続開始を知った日の翌日から10ヶ月

実際のケーススタディ:3つのシナリオ

遺言書が見つかったときの対応は、状況によって大きく異なります。実際によくある3つのシナリオで確認しましょう。

ケース① 封をされた自筆証書遺言が仏壇の引き出しから見つかった

状況:相続人3人(長男・次男・長女)で遺品整理中、仏壇の引き出しから「遺言書」と書かれた封筒を発見。封がされている。

対応:封を開けずに保管。全員で確認し、長男が管轄の家庭裁判所に検認申立てを行う。1ヶ月半後の検認期日に長男・次男が出席(長女は遠方のため欠席)。遺言書の内容は「全財産を長男に相続させる」。

その後:次男・長女は遺留分侵害額請求ができることを弁護士に確認。話し合いの結果、3人で合意の上で相続手続きを進めた。

ケース② 公正証書遺言が自宅に保管されていた

状況:故人の書類棚から公正証書遺言(正本)が見つかった。公証役場の名前と公証人の認証がある。相続人は配偶者と子2人。

対応:公正証書遺言のため検認不要。遺言書に指定された遺言執行者(司法書士)に連絡し、就任を依頼。遺言執行者が相続人全員に就任通知を送付した上で、各金融機関・法務局への手続きを代行。

その後:相続開始から4ヶ月で全手続きを完了。相続税申告も遺言書の内容をもとに税理士が担当した。

ケース③ 日付が異なる2通の遺言書が見つかった

状況:遺品整理で2通の自筆証書遺言書が見つかった。1通は5年前(自宅金庫)、もう1通は2年前(押し入れの書類ケース)。内容が異なる。

対応:2通とも封を開けずに保管し、どちらも家庭裁判所に検認申立て。2通の検認が完了した後、日付が新しい遺言書(2年前)の内容が優先されることを確認。矛盾しない部分は両方が有効。

その後:新しい遺言書の内容に従って手続きを進めた。古い遺言書については「矛盾する部分は撤回されたものとみなす」との扱いとなった(民法1023条)。

遺言書の内容と相続放棄・相続税への影響

遺言書が見つかったときに、相続放棄相続税の観点からも確認しておくべき点があります。

相続放棄との関係

  • 遺言書があっても相続放棄は可能(相続開始を知った日から3ヶ月以内)
  • 相続放棄すると、遺言書で自分に指定された財産も取得できなくなる
  • 遺贈(相続人以外への贈与)を断る場合は「遺贈の放棄」の手続きが必要(特別な申述書は不要、遺言執行者に通知)
  • 遺言書の内容を確認してから相続放棄するかを判断する

相続税との関係

  • 遺言書の内容に従った相続でも相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」
  • 遺言書で指定された財産を受け取れば相続税の課税対象になる
  • 相続人が減ると基礎控除額も変わる(3,000万円+600万円×法定相続人数)
  • 遺言書の有無にかかわらず相続税の申告は期限内に行う

銀行の貸金庫に遺言書がある場合の注意点

故人が銀行の貸金庫を利用していた場合、貸金庫の中に遺言書が保管されているケースがあります。この場合、注意が必要です。

問題点

  • 銀行は原則として相続人全員の同意または家庭裁判所の許可がないと貸金庫を開けさせてくれない
  • 貸金庫の中に遺言書がある可能性があっても、中を確認するために開ける必要があるという矛盾が生じる
  • 相続人の一人が単独では開けられないため、連絡が取れない相続人がいると手続きが止まる

対処法

  • 相続人全員の実印・印鑑証明書・戸籍謄本を揃えて銀行に申請する
  • 金融機関によっては、相続人の代表者の立ち合いで貸金庫の内容を確認できる場合もある
  • 家庭裁判所に「相続財産管理人の選任」を申立てる方法もある
  • 遺言書が見つかった場合は、封を開けずに検認手続きへ

遺言書が見つからなかった場合はどうする?

故人の遺品を探しても遺言書が見つからない場合、まず以下の場所・方法を確認してみましょう。

確認場所・方法 内容
自宅の金庫・引き出し 「遺言書」「重要書類」と書かれた封筒を探す。仏壇・本棚の中も確認
法務局(遺言書保管事実証明書) 相続人が全国の法務局で「保管事実証明書」を取得して確認(800円)
公証役場(遺言検索システム) 全国の公証役場で2000年以降に作成した公正証書遺言を検索できる(無料)
弁護士・司法書士への預け先 生前に専門家に遺言書を預けていた可能性。連絡先が残っていれば確認
銀行の貸金庫 貸金庫の鍵・通知が遺品の中にある場合は銀行に相続人として確認
エンディングノート・スマートフォン 遺言書の保管場所や有無をメモしていた場合がある。「大切な書類の場所」の記録を探す。スマホのメモ・アプリにヒントが残っていることも

遺言書が見つからない場合は遺産分割協議へ

遺言書が存在しない(または有効な遺言書がない)場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を引き継ぐかを決めます。相続発生後にすべきことを確認し、10ヶ月以内の相続税申告(必要な場合)・相続放棄の3ヶ月の期限に注意しながら手続きを進めてください。専門家のサポートが必要な場合は専門家の選び方も参考にしてください。

よくある質問

Q. 遺言書を開封してしまいました。今から何をすればいいですか?

開封してしまっても、遺言書の内容自体は無効になりません(最判昭36・6・22)。遺言書は大切に保管した上で、速やかに管轄の家庭裁判所に検認の申立てを行ってください。裁判所の窓口や電話で「開封済みの遺言書の検認について」と相談すれば対応してもらえます。5万円以下の過料が科される可能性はありますが、手続きを進めることが先決です。

Q. 遺言書の検認に相続人全員が出席しなければいけませんか?

いいえ、相続人全員の出席は不要です。家庭裁判所は検認期日を相続人全員に通知しますが、出席しなくても検認は実施されます。ただし、遠方の相続人や連絡がとれない相続人がいても、申立てから1〜2ヶ月待てば検認が実施されるため、焦る必要はありません。出席した相続人は遺言書の内容を確認できます。

Q. 検認をしないまま銀行の解約手続きをしてしまいました。問題ありますか?

金融機関は遺言書と検認済証明書の提示を求めるのが一般的なため、検認なしでは手続きを受け付けてもらえないケースがほとんどです。もし手続きできてしまった場合、他の相続人から「遺言書の内容に反する」と主張される可能性があります。検認は遺言書の現状を公的に記録するための手続きですので、省略せずに行うことが大切です。

Q. 遺言書が偽造されている可能性があります。どうすればいいですか?

遺言書の偽造・改ざんが疑われる場合は、弁護士に相談することを強くおすすめします。筆跡鑑定・医療記録の確認(遺言作成時の意思能力)・証人への聞き取りなどを通じて、遺言書の有効性を争う「遺言無効確認の訴え」を地方裁判所に提起できます。検認手続きは現状保全が目的であり、偽造かどうかの判断は行いません。検認後、速やかに法的手段を検討してください。

Q. 遺言書に書かれた財産を放棄したいです。相続放棄と手続きは同じですか?

相続人への「相続させる」という遺言の場合、受け取りを断りたければ相続放棄(家庭裁判所への申述、3ヶ月以内)が必要です。相続人以外への「遺贈する」という遺言の場合は、「遺贈の放棄」(遺言執行者または相続人への意思表示)で可能であり、家庭裁判所への申述は不要です。相続放棄すると、遺言書で指定された財産だけでなく、相続全体を放棄することになります。マイナスの財産(借金)が多い場合には有効な選択肢です。

Q. 検認の申立てはいつまでにしなければいけませんか?

法律上、検認の申立てに明確な期限は定められていません(「遅滞なく」行うとされています)。ただし、検認をしないまま遺言書の執行(銀行解約等)はできませんし、放置すると相続人間のトラブルになる場合もあります。また、相続放棄の3ヶ月の期限・相続税申告の10ヶ月の期限が迫っている場合は、早急に動く必要があります。遺言書を発見したら1〜2週間以内に申立てを行うことをおすすめします。

まとめ

遺言書が見つかったら、まず封を開けずに種類を確認し、検認が必要かどうかを判断することが第一歩です。

  • 自筆証書遺言(自己保管)・秘密証書遺言は検認が必要。封を開けると5万円以下の過料
  • 公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言は検認不要
  • 検認は遺言書の現状保全の手続き。有効性の判断ではない
  • 申立て先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所。費用は収入印紙800円+切手
  • 検認から執行まで1〜2ヶ月。相続放棄(3ヶ月)・相続税(10ヶ月)の期限に注意
  • 遺留分を侵害された場合は「侵害を知った日から1年以内」に請求できる
  • 遺言書が見つからない場合は公証役場の検索システム・法務局の保管制度を確認

遺言書の種類ごとの違いは遺言書の種類と違いで、書き方の詳細は遺言書の書き方とNG例で確認できます。遺言書が見つかった後の全体的な相続手続きの流れも合わせて把握しておきましょう。不安な点は早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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