Legal Heir Information Chart Guide
法定相続情報一覧図の作り方と活用メリット
書き方から申出まで完全ガイド
銀行・法務局・年金機構での書類提出を1枚で代替
無料・何枚でも発行できる最強の相続書類
「銀行・証券・法務局・年金機構・保険会社と、何度も同じ戸籍謄本を提出しなければならない」——相続手続きで最も煩雑な作業のひとつが「戸籍謄本の束を何度も繰り返し提出すること」です。この問題を解決するのが「法定相続情報一覧図」です。一度法務局に申出すれば、認証文付きの写しを無料・何枚でも発行してもらえ、複数の金融機関や公的機関への提出が1枚で済むようになります。元銀行員でAFP・相続診断士の田中由美が、法定相続情報一覧図の作り方・書き方・申出手順・活用法を分かりやすく解説します。
田中由美より(AFP・相続診断士・元銀行員)
銀行員時代、相続手続きに来られたご家族で「法定相続情報一覧図」を上手に活用されたご家族とそうでないご家族では、手続きのスムーズさが全然違いました。この制度が2017年にスタートしてから、相続手続きの効率が格段に上がりました。特に複数の銀行口座・証券口座・不動産がある場合は、必ず最初に法定相続情報一覧図を作ることをお勧めします。費用は無料(書類取得の実費のみ)で、一度作れば5年間使えます。作成には少し手間がかかりますが、後の手続きが大幅に楽になります。
- 法定相続情報一覧図とは:基本知識
- 法定相続情報一覧図を作るメリット:なぜ作るべきか
- 法定相続情報一覧図の作成に必要な書類
- 法定相続情報一覧図の書き方:記載ルールと記入例
- 法定相続情報一覧図の申出手順:ステップ別解説
- 田中由美の実体験:法定相続情報一覧図の活用事例
- 法定相続情報一覧図を使えない・注意が必要なケース
- 追加交付の申請方法:もっと写しが必要になったら
- 法定相続情報一覧図の活用事例:機関別の手続きガイド
- 広域交付制度と組み合わせた効率的な戸籍収集の方法
- ケース別:法定相続情報一覧図の作成ポイント
- 相続手続き全体における法定相続情報一覧図のタイミング
- 法定相続情報一覧図に関する専門家への依頼と費用
- よくある質問(Q&A)
- この記事のまとめ
法定相続情報一覧図とは:基本知識
法定相続情報一覧図の基本を押さえておきましょう。
制度の概要
2017年5月から法務局が運用を開始した制度。被相続人(亡くなった人)と相続人の関係を一覧図にして法務局に申出ると、法務局が認証文を付した「法定相続情報一覧図の写し」を無料・何枚でも発行してくれる。
費用と有効期限
申出自体の費用は無料(収入印紙不要)。戸籍謄本等の書類取得費用は実費(数千円〜)。発行された写しの有効期限は5年間(法務局での保管期間)。追加発行は何枚でも無料で可能。
使える機関
銀行・証券会社・保険会社・法務局(相続登記)・年金機構・市区町村役場・証券取引所など、ほとんどの金融機関・公的機関で戸籍謄本の代わりとして受け付けている(機関によって確認が必要な場合もある)。
申出先と申出人
申出先は①被相続人の本籍地②被相続人の最後の住所地③申出人の住所地④不動産所在地のいずれかの管轄法務局。申出人は相続人の一人(全員の同意・委任状なしで可能)。
法定相続情報一覧図を作るメリット:なぜ作るべきか
一覧図を作成することで、相続手続き全体の効率が格段にアップします。具体的なメリットを確認しましょう。
メリット① 戸籍謄本を何度も提出しなくて済む
銀行口座が5つ・証券口座2社・相続登記がある場合、合計7〜8機関に同じ戸籍謄本を提出することになります。一覧図があれば1枚の写しを1機関に提出するだけです。戸籍謄本の束は原本返却に時間がかかることもありますが、一覧図なら原本を預ける必要がありません。
メリット② 複数機関に同時並行で手続きできる
戸籍謄本の原本は1機関が持っている間は別の機関に出せません。法定相続情報一覧図の写しなら、必要枚数を法務局で発行してもらえば、複数機関に同時に提出できます。手続き期間が大幅に短縮できます。
メリット③ 費用が無料
法務局への申出費用は無料です(戸籍謄本の取得実費は別途必要)。認証付き写しは何枚発行しても0円です。戸籍謄本を各機関に追加で取得するコスト(1通450〜750円)を節約できます。
メリット④ 相続関係を一目で把握できる
一覧図は家系図のような形式で相続関係を整理します。複雑な家族関係(再婚・認知・養子縁組など)でも視覚的に整理できます。金融機関の担当者も確認しやすく、手続きがスムーズになります。
法定相続情報一覧図の作成に必要な書類
法定相続情報一覧図の申出には、戸籍謄本等の書類と自分で作成した一覧図が必要です。必要書類は相続の状況によって異なります。
| 書類名 | 誰のもの | 費用(目安) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 戸籍謄本(出生〜死亡まで連続した全ての戸籍) | 被相続人 | 1通450〜750円 | 転籍のたびに分断されるため、複数取得が必要な場合がある。広域交付制度が活用可能。 |
| 住民票の除票(本籍地記載) | 被相続人 | 200〜300円 | 「本籍地を記載する」を必ず指定する。一覧図に住所を記載する場合に使用。 |
| 戸籍謄本または戸籍抄本 | 相続人全員 | 1通450円 | 被相続人との続柄が分かるもの。被相続人の戸籍と同一の場合は省略できることがある。 |
| 住民票(任意) | 相続人(申出人) | 200〜300円 | 一覧図に住所を記載する場合のみ必要。省略することも可能(住所を記載しない場合)。 |
| 申出書(法務局の書式または自作) | 申出人が作成 | 無料 | 法務局のHPから書式をダウンロード可能。記載例が掲載されているため参照しながら作成。 |
| 法定相続情報一覧図(自作) | 申出人が作成 | 無料 | A4白紙・横書き。法務局のHPに記載例あり。手書きでもパソコン作成でも可。 |

法定相続情報一覧図の書き方:記載ルールと記入例
法定相続情報一覧図は、法務局のHPにある記載例を参考に作成します。A4白紙・縦横どちらでも可ですが、横書きが一般的です。以下の記載ルールに従って作成しましょう。
被相続人に記載する項目
- 氏名(フルネーム)
- 出生年月日
- 死亡年月日
- 最後の住所(住民票の除票の記載通りに記載)
- 最後の本籍(戸籍謄本の記載通りに記載)
相続人に記載する項目
- 氏名(フルネーム)
- 出生年月日
- 被相続人との続柄(「長男」「配偶者」「養子」など)
- 住所(任意:記載する場合は住民票通りに記載)
- 相続放棄している場合は「相続放棄」と記載
- 亡くなっている相続人がいる場合は「死亡年月日」と「被代襲者(亡くなった相続人の子)」を記載
| 記載上の注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 記載例は法務局HPを必ず参照 | 法務局のウェブサイトに「法定相続情報一覧図の記載例」が複数掲載されている(子のみ・配偶者と子・代襲相続などパターン別) |
| A4白紙(縦・横どちらでも可) | 用紙の左余白は1.5cm以上。法務局が認証文(「これは、法定相続情報一覧図の写しである」)を印字するスペースが必要 |
| 戸籍謄本の記載通りに転記する | 氏名・住所・本籍地などは戸籍謄本・住民票の記載通りに正確に転記する。誤字・略称は不可 |
| 申出人の署名・捺印は不要 | 一覧図自体には申出人の署名・捺印は必要ない。申出書に署名・捺印する |
| 相続人の住所は記載しなくてもよい | 住所の記載は任意。住所を記載した場合、登記申請で住民票の代替として使える場合がある |
| 相続人が多い場合は続紙を使用 | 相続人が多くてA4一枚に収まらない場合は続紙を作成し、ホチキス留め・各ページに捨印を押す |
法定相続情報一覧図の申出手順:ステップ別解説
一覧図の作成から法務局への申出、認証付き写しの受け取りまでの流れを解説します。
書類の収集(戸籍謄本一式・住民票の除票)
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を収集します。2024年3月から広域交付制度が利用できるため、全国どこの役場でも取得可能です。相続人全員の戸籍謄本(または抄本)も収集します。時間の目安:1〜4週間。
法定相続情報一覧図を作成する
法務局HPの記載例を参照しながら、A4白紙に被相続人と相続人の関係を家系図形式で記載します。Wordやエクセルで作成しても手書きでも可。一番左余白は1.5cm以上あけておくこと(法務局の認証スペース)。
申出書を記入する
法務局HPから「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」をダウンロードして記入します。申出人(相続人の一人)の情報・申出する法務局名・必要な写しの枚数を記載します。印鑑証明書は不要ですが、認印(シャチハタ可)の押印が必要です。
法務局に申出する(窓口または郵送)
①申出書②法定相続情報一覧図③戸籍謄本一式④住民票の除票⑤申出人の身分証明書(運転免許証等のコピー)を法務局に提出します。郵送申請の場合は、返信用封筒(切手貼付)を同封します。
認証付き写しの受け取り・活用
審査完了後(通常1〜2週間)、「法定相続情報一覧図の写し(認証文付き)」が発行されます。申出時に要求した枚数分が一度に発行されます(追加発行も可)。戸籍謄本の代わりとして各金融機関・法務局に提出します。

田中由美の実体験:法定相続情報一覧図の活用事例
田中由美(AFP・相続診断士・元銀行員)の実体験
Bさん(58歳・女性)は父を亡くされ、銀行口座が6つ・証券会社1社・相続登記が必要な不動産が2か所という状況でした。最初は一覧図を作らずに手続きを始めたBさんは、1つ目の銀行への書類提出後、原本返却まで2週間かかり、その間は他の機関への手続きが止まってしまいました。「こんなに時間がかかるとは思わなかった」と途方に暮れていたところで私に相談に来られました。
法定相続情報一覧図を作成し、10枚の認証付き写しを取得してからは、一気に6つの銀行・証券会社・法務局に同時提出できるようになりました。各機関への提出期間が4週間から約10日に短縮され、Bさんはとても喜んでいらっしゃいました。「最初からこれを作っておけばよかった」というのが正直なご感想でした。法定相続情報一覧図は手続きの最初に作るほど効果が大きい書類です。複数の機関での手続きが見込まれる場合は、必ず早めに作成することをお勧めします。
法定相続情報一覧図を使えない・注意が必要なケース
法定相続情報一覧図は非常に便利ですが、使えないケース・注意が必要なケースも知っておきましょう。
| 状況 | 詳細・対処法 |
|---|---|
| 機関によって受け付けない場合がある | ほとんどの金融機関・公的機関で使えるが、まれに一覧図を受け付けない機関もある。事前に「法定相続情報一覧図で手続きできますか?」と確認してから提出を。 |
| 相続放棄・欠格者・廃除が含まれる場合 | 相続放棄をした人・相続欠格者・廃除された人がいる場合、その旨を一覧図に記載する必要がある。家庭裁判所の書類が必要になる場合もある。 |
| 相続登記と同時申出の注意点 | 相続登記(法務局)と法定相続情報一覧図の申出を同時に行う場合、戸籍謄本の原本を1部しか用意していないと手続きが止まることがある。事前に法務局に確認を。 |
| 相続人に行方不明者・成年後見人がいる場合 | 行方不明者がいる場合や成年後見人が必要な場合は、一覧図の作成前に家庭裁判所での手続き(不在者財産管理人の選任・成年後見人の選任)が必要になる場合がある。 |
| 印鑑証明書・遺産分割協議書の代替にはならない | 法定相続情報一覧図は「戸籍謄本の束」の代替であり、「遺産分割協議書」「印鑑証明書」の代替ではない。金融機関の相続手続きには引き続きこれらが必要。 |
追加交付の申請方法:もっと写しが必要になったら
最初に申出した際に取得した写しが不足した場合、5年以内であれば無料で追加交付を受けられます。
追加交付の手順
①法務局HPから「法定相続情報一覧図の写しの再交付申出書」をダウンロード②申出人(最初の申出人と同一人物)が記入③最初の申出をした法務局(または保管している法務局)に郵送または持参④費用:無料(郵送の場合は切手・返信封筒が必要)
最初に多めに取得するコツ
最初の申出時に、手続きが必要な機関の数プラス2〜3枚の余裕を持って申請するとよい。手続き機関(銀行・証券・保険・法務局・年金機構)の数を事前に整理して、必要枚数を算出しておく。余った分は保管しておいても問題なし。
5年後に有効期限が切れたら
法務局での保管期間は5年間。5年を過ぎると法務局での交付が受けられなくなる(書類が廃棄される)。ただし相続手続き自体は5年後でも可能で、その場合は改めて戸籍謄本一式を取得して各機関に提出する必要がある。
法定相続情報一覧図の活用事例:機関別の手続きガイド
法定相続情報一覧図は、提出先の機関によって取り扱いが異なります。それぞれの機関での活用方法を確認しておきましょう。
| 機関の種類 | 法定相続情報一覧図の扱い | 必要な追加書類(一覧図以外) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 銀行・信用金庫 | 戸籍謄本一式の代替として受理。ほぼ全ての金融機関で使用可能(事前確認推奨)。 | 遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、通帳・キャッシュカード、相続届(各銀行所定) | 銀行独自の相続届書式がある。窓口で所定用紙を受け取ってから記入する流れが多い。手続き完了まで1〜2ヶ月程度かかる場合もある。 |
| 証券会社 | 多くの証券会社で戸籍謄本の代替として受理。ただし一部の会社では原本確認を求める場合あり。 | 遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、故人の取引残高証明書、移管先口座情報 | 株式や投資信託は移管手続きが必要(売却してから相続するケースと現物移管がある)。証券会社によってオンライン・郵送のみ対応の場合あり。 |
| 法務局(相続登記) | 相続登記の申請時に戸籍謄本の代替として使用可能。同一法務局の場合は申出と登記申請を同時進行できる。 | 遺産分割協議書(法定相続の場合は不要)、相続人全員の印鑑証明書、固定資産評価証明書、登録免許税(固定資産評価額×0.4%) | 相続登記の期限は2024年4月から3年以内(義務化)。登記は法務局・オンライン・郵送で申請可能。複雑な案件は司法書士への依頼を推奨。 |
| 日本年金機構 | 未支給年金・遺族年金の請求時に戸籍謄本の代替として受理。ねんきんネットまたは年金事務所で手続き。 | 故人の年金証書・基礎年金番号、請求者の通帳コピー、死亡診断書(コピー)、故人との関係を証明する書類 | 死亡後5年以内に請求しないと時効になる未支給年金がある。遺族年金の受給要件は細かく確認が必要(18歳未満の子がいるかなど)。 |
| 生命保険会社 | 受取人が指定されている場合は一覧図不要のことが多いが、法定相続の場合や受取人が故人の場合は必要になることがある。 | 保険証券、死亡診断書・死体検案書(原本)、受取人の本人確認書類・印鑑証明書 | 死亡保険金は受取人固有の財産(遺産分割対象外)。ただし税務上は相続税の対象(非課税限度額:500万円×法定相続人の数)。複数の保険証券がある場合は証券番号一覧を先に整理しておく。 |
| 市区町村役場 | 国民健康保険・介護保険の喪失届・還付請求等に使える。住民票や固定資産関係の手続きにも活用可能。 | 各手続きの所定書類(健康保険証の返納等)、申請者の身分証明書、印鑑 | 役場の各窓口(税務課・保険年金課等)によって受け付け窓口が異なる。相続手続きのワンストップ窓口を設けている自治体も増えている。 |
広域交付制度と組み合わせた効率的な戸籍収集の方法
2024年3月から始まった戸籍の広域交付制度を活用すると、戸籍謄本の収集がさらに効率的になります。法定相続情報一覧図との組み合わせで、相続手続き全体の時間を大幅に短縮できます。
広域交付制度とは
2024年3月1日から開始。本籍地以外の市区町村役場でも、他の自治体に保管されている戸籍謄本を取得できる制度。例えば、東京都在住の方が、大阪市に本籍がある被相続人の戸籍謄本を東京都内の役場で取得できる。郵送には対応しておらず、窓口申請のみ。
広域交付の対象となる戸籍
①現在の戸籍謄本(全部事項証明書)②除籍謄本③改製原戸籍謄本が対象。ただし一部事項証明書(抄本)は対象外。また、コンピュータ化されていない古い戸籍(手書きの紙の戸籍)は取得できない場合がある。1965年(昭和40年)以前の戸籍は注意が必要。
法定相続情報一覧図との理想的な進め方
①広域交付制度を使って自宅近くの役場で戸籍謄本を一括収集(1〜2日)②収集した戸籍謄本を基に法定相続情報一覧図を作成(1〜2日)③自宅近くの管轄法務局に申出(必要枚数を指定)④認証付き写しを受け取り(1〜2週間後)⑤複数機関に同時提出してスピーディに手続きを完了。この流れが最も効率的。
広域交付制度の注意点
申請できるのは直系尊属・卑属・配偶者(兄弟姉妹は不可)。身分証明書(マイナンバーカードなど顔写真付き)が必要。窓口での即日交付が原則だが、古い戸籍(コンピュータ化前)は後日取り寄せになる場合もある。費用は通常取得と同じ(1通450〜750円)。
ケース別:法定相続情報一覧図の作成ポイント
家族構成によって一覧図の書き方が異なります。代表的なケース別に作成ポイントを解説します。
| 家族構成・状況 | 一覧図作成のポイント | 特記事項 |
|---|---|---|
| 配偶者と子のみ(最もシンプルなケース) | 被相続人を中心に、左に配偶者・下に子を配置する家系図形式が標準。法務局HPの記載例「パターン1」が参考になる。 | 最もシンプルなケース。戸籍謄本の種類も少なく、作成時間が短くて済む。初めての方はこのパターンをしっかり確認してから作成を始めることを推奨。 |
| 配偶者なし・子のみ(配偶者が先に亡くなっている場合) | 配偶者の欄に「年月日死亡」と記載する。子の人数・続柄(長男・長女など)を正確に記載。相続放棄した子がいる場合は「相続放棄」と記載。 | 被相続人の出生からの戸籍(配偶者と結婚したことが分かる戸籍も含む)が必要。配偶者の死亡年月日は戸籍に記載されているため確認が容易。 |
| 代襲相続が発生している(子が先に亡くなっている) | 亡くなった子の欄に「年月日死亡」と記載し、その子の下に孫(被代襲者)を記載する。孫の氏名・出生日・続柄(孫、長男の子など)を記載。 | 亡くなった子の出生から死亡までの戸籍・孫の戸籍が追加で必要。書類の量が増えるため、広域交付制度の活用で収集を効率化することを推奨。複雑な場合は司法書士に相談。 |
| 子がいない・親が相続人になる(第2順位相続) | 被相続人の親(父・母)を相続人として記載。亡くなっている場合は「年月日死亡」と記載。子・孫がいないことが戸籍で証明できることが必要。 | 被相続人に「子がいないこと(結婚歴・婚外子なし)」を戸籍で証明する必要があり、出生から死亡までの連続した戸籍が特に重要。戸籍収集に時間がかかりやすい。 |
| 兄弟姉妹が相続人(第3順位相続) | 被相続人の兄弟姉妹の氏名・出生日・続柄を記載。亡くなっている兄弟姉妹がいる場合は「年月日死亡」と記載(代襲相続は甥・姪まで)。 | 被相続人の親の戸籍(父母が記載されたもの)も収集が必要になり、書類量が最も多いケース。専門家への依頼を検討するケース。 |
| 再婚・養子縁組がある複雑なケース | 前婚の子・現婚の子・養子などを全員記載する。続柄は「長男(前婚)」「養子」など分かるように記載。一覧図が複数ページになる場合は続紙を使用。 | 法務局の担当者に事前相談することを強く推奨。前婚の婚姻・離婚の記録が入った戸籍、養子縁組が記載された戸籍など、取得が必要な書類が多岐にわたる。 |
相続手続き全体における法定相続情報一覧図のタイミング
相続手続きのどのタイミングで法定相続情報一覧図を作るべきか、全体の流れの中で確認しましょう。
死亡直後(〜7日以内):死亡届の提出・葬儀
死亡届(市区町村役場へ7日以内)、葬儀の手配、死亡診断書のコピーを複数枚取得しておく。この段階では法定相続情報一覧図の準備は不要。まずは緊急度の高い手続きを優先する。火葬許可証・埋葬許可証も取得。
〜3週間以内:資産・負債の全体把握と相続人確認
通帳・証券口座・不動産・保険証券・借入の有無を整理。相続人が誰になるかを確認(遺言書の有無確認も)。相続放棄を検討する場合は「3か月以内」という期限があるため、負債が多い場合は早急に確認が必要。
★ここで法定相続情報一覧図の作成を開始(〜1か月)
戸籍謄本の収集を開始し、一覧図を作成・法務局へ申出する。認証付き写しを10〜15枚程度多めに取得する。この段階で一覧図を準備しておくことで、次の各種手続きをスピーディに進められる。広域交付制度を使えば1か所の役場で収集可能。
〜4か月以内:各種手続きを一斉スタート
法定相続情報一覧図の写しを使って、銀行口座の解約・移管、証券口座の名義変更・移管、相続登記申請、年金機構への未支給年金請求、生命保険の請求などを並行して進める。4か月以内(準確定申告・相続放棄の特別申告)の期限も意識する。
〜10か月以内:相続税の申告・納付
相続税の申告が必要な場合(遺産が基礎控除を超える場合:3,000万円+600万円×法定相続人の数)は10か月以内に申告・納付が必要。税理士への相談は早めに(4〜6か月以内が理想)。遺産分割協議も原則としてこの期間内に完了させる。
法定相続情報一覧図に関する専門家への依頼と費用
法定相続情報一覧図は自分で作れますが、複雑な家族関係や時間がない場合は専門家への依頼も選択肢です。各専門家への依頼費用と対応範囲を確認しましょう。
| 専門家 | 対応できる範囲 | 費用の目安 | おすすめのケース |
|---|---|---|---|
| 司法書士 | 法定相続情報一覧図の作成・申出代行、戸籍謄本の収集、相続登記(不動産の名義変更)まで一括対応可能。 | 一覧図単体:1〜3万円。相続登記とセット:5〜15万円(不動産の数・複雑さによる) | 不動産の相続登記が必要で、戸籍謄本の収集や一覧図作成も一括で任せたい方。複雑な家族関係(代襲相続・再婚・養子縁組等)のケース。 |
| 行政書士 | 法定相続情報一覧図の作成・申出代行、戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成。不動産登記は原則対応不可(司法書士の業域)。 | 一覧図単体:1〜2万円。戸籍収集とセット:3〜6万円程度。 | 不動産がなく、金融機関の手続きが中心のケース。遺産分割協議書の作成も必要な場合。 |
| 弁護士 | 相続争いの解決・調停・審判対応。一覧図の作成代行も技術的には可能だが、本来は紛争解決が専門。 | 相談:1万円/時間程度。依頼案件:着手金10〜50万円+成功報酬。 | 相続人間でトラブルがある、相続人の一人が協議に応じない、遺産の取り合いになっているケース。 |
| 税理士 | 相続税の申告・節税対策が専門。一覧図の作成代行は業域外だが、相続税申告に必要な書類の取得をまとめて依頼できる事務所も多い。 | 相続税申告:30〜100万円程度(遺産の規模による)。申告不要の確認:無料〜数万円。 | 遺産が基礎控除を超え相続税の申告が必要なケース。不動産の評価・株式の評価など専門的な計算が必要なケース。 |
田中由美からのアドバイス:自分でやるか専門家に任せるかの判断基準
法定相続情報一覧図の作成は、家族構成がシンプルな場合(配偶者と子のみ・再婚なし・養子なし)は自分で作ることをお勧めします。費用が節約できるだけでなく、作成の過程で相続の全体像を把握できるメリットもあります。一方で、代襲相続・再婚・前婚の子・養子縁組・相続放棄といった複雑な要素がある場合は、専門家(司法書士・行政書士)への依頼が賢明です。また、相続税の申告が必要な場合は、税理士に早めに相談することで節税策を講じられる可能性があります。まずは無料相談(相続診断士・税理士会の無料相談等)を活用して、専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。
よくある質問(Q&A)
この記事のまとめ
法定相続情報一覧図まとめ
- 法定相続情報一覧図とは、被相続人と相続人の関係を一覧にし、法務局が認証した書類
- 申出費用は無料・認証付き写しは何枚でも無料で発行可能(5年間有効)
- 銀行・証券・保険・法務局・年金機構など複数機関に戸籍謄本の代わりとして提出可能
- 申出人は相続人の一人でOK(全員の同意・委任状不要)
- 作成はA4白紙に家系図形式で記載(法務局HPの記載例を参照)
- 申出先は本籍地・住所地・不動産所在地いずれかの管轄法務局(自宅近くでOK)
- 複数機関での手続きが見込まれる場合は、必ず手続き開始前に一覧図を作ることを推奨
- 相続登記と同時申出も可能(同一管轄法務局の場合)
- 追加交付は5年以内であれば無料・法務局に「再交付申出書」を提出するだけ
法定相続情報一覧図は「作るのが少し手間だが、作れば後の手続きが格段に楽になる」という投資対効果の高い書類です。複数の金融機関・不動産の相続手続きを控えている場合は、ぜひ最初のステップとして作成を計画してください。

