Mandatory Inheritance Registration 2024
相続登記義務化2024年4月|未登記の実家があれば今すぐやるべきこと
3年以内の登記義務・過料10万円以下・経過措置2027年3月末まで
元銀行員AFP田中由美がわかりやすく解説
「親が亡くなって実家を相続したけれど、名義変更はまだしていない」——そんな方は少なくないのではないでしょうか。これまで相続登記は任意とされていたため、親世代の名義のままになっている不動産は全国に膨大にあります。しかし2024年4月1日から相続登記は法律で義務化され、正当な理由なく登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性が出てきました。しかも驚くべきことに、施行日より前に相続した不動産も対象になります。この記事では、相続登記義務化の正確な内容、過料の対象になるケース、自分で手続きする方法、司法書士に依頼した場合の費用、そして新設された「相続人申告登記」という簡易制度まで、元銀行員でAFP・相続診断士の田中由美がわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 相続登記義務化(不動産登記法76条の2)の正確な内容と施行日
- 3年以内のカウント開始はいつからか(相続開始&所有権取得を知った日)
- 2024年4月1日以前の相続も対象になる経過措置と2027年3月末の期限
- 過料10万円以下の対象になるケース・ならないケース
- 未登記のまま放置すると起きる4つの重大リスク
- 相続登記を自分でやる手順と司法書士に依頼した場合の費用相場
- 2024年4月新設「相続人申告登記」という簡易的な選択肢の使い方
著者:田中由美(AFP・相続診断士・元銀行員)
銀行員時代、不動産担保融資の担当をしていた頃から「登記簿上の所有者がすでに亡くなっている」というケースに何度も遭遇しました。そして数年前、私自身も父を亡くした時に、実家の登記簿を取り寄せて愕然としたのです。所有者の欄に書かれていたのは——父ではなく、私が会ったことすらない祖父の名前でした。
祖父が亡くなったのは40年以上前。父は相続した実家の名義変更を「面倒だから」「売るつもりはないから」と後回しにしていました。いざ相続登記をしようとすると、祖父から父へ、父から私へと二段階の登記が必要になり、しかも40年前に亡くなった祖父の相続人(父の兄弟姉妹や、その子・孫)全員の戸籍謄本を集めて遺産分割協議書に実印をもらう必要がありました。全国に散らばる10人以上の親族に連絡を取り、事情を説明し、書類に署名押印をもらうまでに半年以上かかりました。
幸い、親族関係が良好だったので協力は得られましたが、「もし一人でも連絡が取れなかったら」「協力を拒否する人がいたら」と考えるとゾッとします。司法書士さんに依頼した費用も、一世代分なら5〜10万円で済んだところが、二世代分・戸籍取得の手間も加わって30万円以上かかりました。
2024年4月から義務化された今、同じ失敗を繰り返してほしくありません。「後回しにしない」——これが私が皆さまに一番伝えたいことです。
相続登記義務化の正確な内容——不動産登記法76条の2
相続登記の義務化は、不動産登記法の改正により新設された第76条の2という条文で規定されています。2024年4月1日に施行された新しいルールの核心を整理します。
不動産登記法76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請)の要点
- 相続または遺贈により不動産の所有権を取得した相続人は、登記申請の義務を負う
- 自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならない
- 正当な理由なくこの申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される(不動産登記法164条1項)
- 遺産分割が成立した場合は、その日から3年以内に改めて登記申請が必要
- 施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続についても適用される(経過措置あり)
義務化の背景
所有者不明土地の増加が社会問題化したことが義務化の背景です。国土交通省の調査では、所有者不明土地は九州本土の面積に匹敵する規模に達しており、公共事業・災害復旧・空き家対策の障害となっていました。相続登記が任意だったことが主因の一つです。
対象となる不動産
土地・建物の両方が対象です。戸建て住宅・マンション・宅地・農地・山林・私道など、登記簿に記載される不動産はすべて対象となります。未登記家屋(登記されていない建物)は別途「表題登記」が必要ですが、すでに登記されている不動産の相続は義務の対象です。
対象者
相続または遺贈(遺言による贈与)で不動産を取得した相続人が対象です。法定相続人のうち実際に取得する人だけでなく、遺言で不動産をもらった相続人も含まれます。複数人の共有になる場合は、共有者それぞれに申請義務があります。
相続登記の義務化については相続登記義務化の詳細解説の記事で制度全般を整理していますので、合わせてご覧ください。
制度改正のポイント(所有者不明土地問題への対応)
相続登記義務化は「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」という一連の民法・不動産登記法改正の中核です。同時期に「相続土地国庫帰属制度(2023年4月施行)」「住所変更登記の義務化(2026年4月施行予定)」「所有権登記名義人の死亡情報のシステム連携」なども導入または準備されており、国は総合的に所有者不明土地問題に取り組んでいます。
相続登記の義務化は単独の制度ではなく、不動産の所有者情報を正確に把握・維持するための制度パッケージの一部だと理解しておくと、今後の運用・関連制度の変化にも対応しやすくなります。
3年以内の登記義務——カウント開始のタイミング
「3年以内」の期限がいつから始まるのかは、多くの方が誤解しやすいポイントです。カウント開始は「相続開始を知った日」かつ「所有権を取得したことを知った日」の両方を満たした日から始まります。
| ケース | 3年のカウント開始日 | 備考 |
|---|---|---|
| 親の死亡直後に不動産の存在を把握 | 親が亡くなった日 | 最も一般的なケース。死亡診断書・戸籍謄本で死亡日が特定される |
| 死亡後しばらく経ってから不動産の存在を知った | 不動産の存在を知った日 | 遠方の山林・別荘など、家族が把握していなかった不動産の場合 |
| 遺言により不動産を取得 | 遺言の内容と不動産取得を知った日 | 遺言書の開示・検認日が目安となる |
| 遺産分割協議により不動産を取得 | 遺産分割協議が成立した日 | 協議成立日から3年以内に登記が必要(別途義務) |
| 数次相続(相続途中に次の相続が発生) | 各相続について個別にカウント | それぞれの相続についてカウント。複雑なため専門家相談を推奨 |
誤解しやすいポイント
「親が亡くなってから3年」ではなく、「相続の開始と所有権取得を知った日から3年」である点に注意してください。例えば親の死亡は知っていたが、実は別の土地を持っていたことを死後5年経ってから知った場合、その土地についてはそこから3年以内の登記義務となります。
ただし「知らなかった」を証明するのは困難なため、実務上は「親の死亡日」からカウントする心構えでいた方が安全です。
遺産分割協議が成立した場合の追加義務
相続発生後、一旦は法定相続分で登記(または相続人申告登記)をしたものの、後から遺産分割協議が成立して特定の人が不動産を取得することになった場合、遺産分割協議の成立日から3年以内に改めて登記を申請する義務が生じます(不動産登記法76条の2第2項)。
つまり、相続登記義務は「相続開始時」と「遺産分割成立時」の2段階でそれぞれ発生する可能性があります。特に遺産分割協議が長引いた後に合意した方は、「あと3年ある」と油断せず、協議成立後は速やかに登記を済ませることが重要です。
例:親が2020年に死亡→2024年4月施行時点では未登記→2025年に相続人申告登記→2026年に遺産分割協議成立→2029年までに正式登記、というスケジュールが考えられます。
複数の不動産がある場合の考え方
被相続人が複数の不動産を所有していた場合、それぞれの不動産について登記義務が発生します。ただし「知った日」は不動産ごとに異なる可能性があります。例えば同居していた実家は死亡日と同時に把握できても、遠方の山林は後になって把握するケースなどです。
実務的には、相続開始後すぐに「固定資産税納税通知書」や「名寄帳」を市区町村で取得し、被相続人の所有不動産を一覧で把握しておくことが推奨されます。これにより「知らなかった」ことを防ぎ、登記漏れを回避できます。
2024年4月1日以前の相続も対象——経過措置2027年3月末まで
相続登記義務化で最も重要かつ見落とされやすいのが、施行日より前に発生した相続にも適用されるという点です。過去の相続でも義務化の対象となりますが、経過措置として施行日から3年間(2027年3月末まで)の登記期限が設けられています。
【重要】施行日より前に相続した不動産の期限
2024年3月31日以前に相続開始および所有権取得を知った場合、期限は2027年3月31日まで(施行日2024年4月1日から3年)となります。つまり、何十年も前に相続した不動産でも、期限は同じ2027年3月末です。
「祖父の代から登記していない」「父の死後30年以上放置している」という方も、今すぐ動かないと過料の対象となる可能性があります。
| 相続開始時期 | 登記期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2024年4月1日より前 | 2027年3月31日まで | 経過措置(施行日から3年) |
| 2024年4月1日以降 | 相続開始・所有権取得を知った日から3年以内 | 不動産登記法76条の2 |
| 遺産分割協議成立 | 協議成立日から3年以内 | 不動産登記法76条の2第2項 |
田中由美からのアドバイス
「祖父の名義のまま」「父が亡くなって20年経つけれどそのまま」という方こそ急ぐ必要があります。2027年3月末までという期限は、全国で何百万件もの未登記不動産が対象ですから、期限直前になると法務局・司法書士ともにパンクします。早め早めに動き始めることが、精神的にも費用的にもお得です。
過料10万円以下の対象となるケース・ならないケース
義務違反に科される「過料」は刑事罰(罰金)ではなく行政罰ですが、最大10万円以下の金銭的負担が生じます。ただし、すべての未登記が即座に過料となるわけではなく、「正当な理由なく」申請を怠った場合に限る点が重要です。
過料の対象となる可能性があるケース
- 相続人が登記義務を知りながら長期間放置している
- 催告(法務局からの通知)を受けたのに対応しない
- 「面倒だから」「売らないから」という理由で放置
- 遺産分割協議が成立したのに登記申請を怠っている
- 相続人申告登記すら行っていない
「正当な理由」として認められる可能性があるケース
- 相続人の一部が行方不明で遺産分割協議が整わない
- 相続人間で深刻な対立があり調停中・訴訟中
- 相続人自身が重病・高齢で登記手続きができない
- 戸籍関係の資料が集まらず相続人確定に時間を要する
- 遺言の有効性について係争中
過料が科されるまでの流れ
- 登記官が未登記の状態を把握する(戸籍情報連携など)
- 登記官から相続人に対して「催告書」が送付される
- 催告後の相当期間内(通常数か月)に登記申請または相続人申告登記を行えば過料回避
- 催告に応じない場合、登記官が裁判所に過料事件を通知
- 裁判所が10万円以下の過料を決定
催告段階で応じれば過料は科されないケースが多いとされています。ただし「催告が来てから動けばよい」と安易に考えず、早めに手続きを進めることが重要です。
未登記のまま放置するとどうなるか——4つの重大リスク
過料だけが問題ではありません。相続登記を怠ると、将来的に自分や子・孫の世代が大きな困難に直面します。実務で頻繁に見るトラブルを整理します。
不動産を売却・担保にできない
登記簿上の所有者が亡くなった親のままでは、不動産を売却することも、金融機関の担保として融資を受けることもできません。急に現金が必要になった時や、老人ホーム入居資金が必要になった時に実家を売却したくても、まず相続登記を済ませる必要があります。そこから売却まで最低でも数か月かかるため、タイミングを逃します。
次の相続で手続きが爆発的に複雑化する(数次相続)
登記を放置したまま次の相続が発生すると、戸籍収集・遺産分割協議の当事者が何倍にも増えます。祖父→父→本人の二段階なら、祖父の相続人全員(父の兄弟姉妹・その配偶者・その子・孫)の同意が必要になります。一人でも連絡が取れない・協力を拒む人がいれば、実家は永久に塩漬けです。
共有者が全員不明になるリスク
世代を超えて登記を放置すると、法定相続分に応じた共有状態のまま相続人が数十人単位に膨れ上がります。そのうちの誰かが認知症になる、行方不明になる、海外移住するなどすれば、不動産の処分はほぼ不可能になります。所有者不明土地問題の典型的な発生メカニズムです。
他の相続人による差押え・処分のリスク
登記をしない間、不動産は法定相続分に応じた共有状態と推定されます。他の相続人が借金を返済できずに共有持分を差押えされる・他人に売却されるリスクもあります。このようなトラブルが発生すると、実家の管理・処分が極めて困難になります。
田中由美からのアドバイス
私が担当したお客様の中で最も深刻だったのは、曾祖父名義の山林を相続したケースです。曾祖父の相続人は30人以上におよび、その多くが既に亡くなって数次相続になっていました。戸籍収集だけで1年以上かかり、登記完了までに2年以上、費用は80万円を超えました。「自分で使う予定もない山だから」と放置された結果がこれです。未登記の放置は、子・孫世代への重い「負の遺産」になると痛感しています。

相続登記を自分でやる手順——書類収集・申請書作成・法務局提出
相続登記は司法書士に依頼するのが一般的ですが、シンプルなケースなら自分で手続きすることも可能です。自分で行う場合の流れを整理します。
不動産の特定(登記簿謄本・固定資産税納税通知書)
相続対象の不動産を正確に特定します。登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局で1通600円で取得できます。地番・家屋番号を正確に把握するため、固定資産税納税通知書に付属する「課税明細書」も重要な資料です。複数の不動産を相続する場合は、全件リストアップしておきます。
戸籍謄本の収集(被相続人の出生から死亡まで)
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を収集します。本籍地の市区町村役場で取得し、転籍している場合は各本籍地を辿って取り寄せます。相続人全員の戸籍謄本・住民票も必要です。2024年3月から「広域交付制度」でどの市区町村でも請求できるようになり便利になりました。
遺産分割協議書の作成
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い「誰が不動産を取得するか」を決めます。協議内容を「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が実印で押印します。印鑑証明書も全員分添付します。遺言書がある場合は検認済みの遺言書が協議書の代わりになります。
登記申請書の作成
法務局のウェブサイトで申請書の雛形をダウンロードし、必要事項を記入します。記入項目は「登記の目的」「原因」「相続人」「課税価格」「登録免許税」「不動産の表示」など。相続登記の申請書の書き方はこちらの記事で詳しく解説しています。
登録免許税の計算と納付
相続登記の登録免許税は「不動産の固定資産評価額 × 0.4%」です。例えば評価額2,000万円の土地なら8万円。収入印紙を申請書に貼付して納付します。評価額は固定資産税納税通知書の「課税明細書」に記載されています。
法務局への申請・登記完了
不動産の所在地を管轄する法務局に申請書と添付書類を提出します。窓口・郵送・オンライン(登記・供託オンライン申請システム)での申請が可能です。通常1〜2週間で登記が完了し、「登記識別情報通知」が交付されます。これが新しい「権利証」の役割を果たします。
自分で相続登記をする場合の詳細な手順・注意点については相続登記を自分でやる方法の記事でさらに詳しく解説しています。

司法書士に依頼する費用相場——5〜15万円目安
相続登記を司法書士に依頼した場合の費用は、一般的に5〜15万円程度(シンプルなケース)が相場です。不動産の数・相続人の数・遺産分割の難易度によって変動します。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 司法書士報酬(シンプルなケース) | 5〜10万円 | 相続人が1〜3名・不動産1〜2件の場合 |
| 司法書士報酬(複雑なケース) | 10〜20万円以上 | 数次相続・相続人多数・不動産複数の場合 |
| 登録免許税 | 評価額×0.4% | 評価額2,000万円なら8万円 |
| 戸籍謄本等の取得実費 | 5,000〜2万円程度 | 戸籍1通450〜750円、数により増減 |
| 登記事項証明書・印紙代等 | 数千円程度 | 書類取得の実費 |
司法書士に依頼した方がよいケース
- 数次相続(祖父・父など複数世代分を一度に登記)が発生している
- 相続人が多く、戸籍収集・遺産分割協議書作成が煩雑
- 不動産が複数あり、複数の法務局に申請が必要
- 相続放棄をした人がいる・認知症の相続人がいる
- 相続税申告と並行して進める必要がある
- 平日に法務局に行く時間が取れない
相続の専門家選びについては相続専門家の選び方の記事もご覧ください。複数の司法書士から見積もりを取ることをお勧めします。
相続人申告登記という簡易的な選択肢——2024年4月施行の新制度
義務化に合わせて「相続人申告登記」という新制度が2024年4月に新設されました。これは「過料を回避するための簡易的な申告制度」で、正式な相続登記の前段階として活用できます。
相続人申告登記とは
相続開始の事実と、自分が相続人であることを法務局に「申告」するだけの簡易的な手続きです。遺産分割協議が済んでいなくても、単独で申告できます。これを行えば、3年以内の登記義務を履行したものとみなされ、過料を回避できます。
- 遺産分割協議が未了でも申告可能
- 申告する相続人単独で可能(他の相続人の同意不要)
- 必要書類は被相続人の戸籍・自分の戸籍・住所証明のみと簡便
- 登録免許税は不要(非課税)
- 司法書士報酬の相場は2〜5万円程度(ケースによる)
メリット
- 過料を確実に回避できる
- 費用・手間が通常の相続登記より少ない
- 遺産分割協議の継続中でも申告可能
- 相続人が複数いても単独で申告できる
デメリット・注意点
- 正式な登記ではないため、売却・担保提供はできない
- 所有権を証明する効力は限定的
- 遺産分割協議が成立したら、そこから3年以内に改めて本登記が必要
- あくまで暫定措置として活用する制度
こんな方に相続人申告登記がお勧め
「遺産分割協議がまとまらない」「期限が迫っているが正式な登記が間に合わない」「相続人の一部と連絡が取れない」といった事情がある方は、まず相続人申告登記で過料リスクを回避し、その後に時間をかけて正式な相続登記を行うという二段階対応が現実的です。
登記を後回しにしない5つの理由
「いつかやればいい」と後回しにしている方に向けて、今すぐ行動すべき理由を整理します。
理由1:費用が時間とともに増える
放置するほど次の相続が発生するリスクが高まり、二世代・三世代分の登記が必要になります。費用は倍々に増加し、戸籍収集の手間も膨大になります。今やる5万円が、10年後には30万円になるかもしれません。
理由2:相続人同士の関係が悪化するリスク
時間が経つほど相続人の家族関係は希薄化します。遺産分割協議を後からやろうとすると、疎遠になった親族に協力を求める必要があり、話し合いが難航します。今なら兄弟姉妹とまだ連絡が取れるうちに済ませておけます。
理由3:認知症・死亡のリスク
相続人の誰かが認知症になれば、その人の印鑑だけでなく成年後見人の選任が必要になり、手続きが数か月単位で遅れます。高齢の相続人が次々と亡くなれば、数次相続が発生して複雑化します。
理由4:2027年3月末の期限前は混雑する
過去分の経過措置期限は2027年3月末。期限直前は全国の法務局・司法書士が混雑し、書類取得にも時間がかかります。早めに動くほど確実に、かつ余裕を持って手続きできます。
理由5:精神的な重荷から解放される
「いつかやらなきゃ」という心理的負担は思った以上に大きいものです。登記を済ませてしまえば、売却・活用・相続計画などの次のステップに自由に進めます。家族への負の遺産も残しません。
実家が未登記の場合に今すぐやるべきこと
実家が親や祖父母の名義のままになっている方が、具体的に何から始めるべきかをステップで整理します。
登記簿謄本を取得して現状を確認する
まずは法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、現在の名義人を確認します。1通600円です。オンラインでも請求できます。「誰の名義になっているか」「いつから登記が動いていないか」を把握することが第一歩です。
相続関係を図にして整理する
登記名義人が亡くなった時点で、誰が相続人だったかを家系図のようにまとめます。その相続人が既に亡くなっていれば、さらにその相続人(子・孫)を洗い出します。数次相続になっている場合は複雑なため、この時点で司法書士に相談するのが賢明です。
他の相続人と早めに連絡を取る
遺産分割協議が必要な場合、他の相続人への連絡が遅れると手続きが停滞します。兄弟姉妹・親族にこの機会に連絡を取り、登記についての意向を確認しておきます。「実家の名義を自分にする」ことへの同意を得られるか、早めに打診しておくことが重要です。
司法書士に無料相談してみる
多くの司法書士事務所は初回相談無料です。登記簿謄本を持参して相談すれば、自分でやるか・依頼するかの判断、費用の見積もり、必要書類のアドバイスを受けられます。複数の事務所に相談して比較することをお勧めします。
期限が迫っていれば相続人申告登記で先に過料回避
2027年3月末が近づいており、正式な相続登記が間に合わない場合、まず相続人申告登記で過料を回避します。その後、時間をかけて正式な相続登記に進めば安心です。相続人申告登記も司法書士に依頼できます(2〜5万円程度)。
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よくある質問
この記事のまとめ
相続登記義務化2024年4月——押さえておきたい要点
- 相続登記は2024年4月1日から不動産登記法76条の2により義務化。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる
- 登記期限は「相続開始および所有権取得を知った日から3年以内」。親の死亡日が起点となるのが一般的
- 2024年4月1日以前の相続も経過措置により対象となり、期限は2027年3月31日。何十年も前の未登記不動産も対象
- 過料は「正当な理由」がある場合は科されない。遺産分割協議が難航中・相続人が行方不明等が正当な理由に該当する可能性
- 未登記のまま放置すると「売却不可」「数次相続による手続き爆発」「共有者全員不明リスク」「差押えリスク」という4つの重大リスクがある
- 自分で登記する場合は戸籍収集・遺産分割協議書作成・申請書作成・法務局提出の6ステップ。登録免許税は評価額×0.4%
- 司法書士に依頼する場合の費用相場は5〜15万円(シンプルなケース)。数次相続・複雑案件は20万円以上になることも
- 2024年4月新設の「相続人申告登記」は、遺産分割協議未了でも単独で申告でき過料を回避できる簡易制度。登録免許税は不要
- 後回しにする5つのリスク:費用増加・相続人関係悪化・認知症死亡リスク・期限直前の混雑・精神的負担
- 実家が未登記の場合は「登記簿謄本取得→相続関係整理→相続人連絡→司法書士相談→期限迫れば相続人申告登記」の5ステップで動く
相続登記義務化は、国民全員に関わる重大な制度変更です。過去の相続を放置してきた方ほど早急な対応が必要です。相続登記義務化の詳細はこちらの記事、申請書の書き方は相続登記申請書の記事、自分でやる手順は自分で登記する方法を合わせてご覧ください。専門家選びに迷ったら相続専門家の選び方の記事も参考になります。今日の一歩が、10年後のご家族の安心につながります。

